冷蔵1週間
今回は、以前からたくさんのリクエストをいただいていた、だしの取り方&だしがらの活用法をご紹介します。
黄金色の出汁(だし)。
これさえあれば、何でも美味しくいただけて、そして便利に調理に出来る、まるで魔法の水です。
すぐに美味しいお吸い物、具材にたっぷりと注いで素材の旨味を活かした煮物、速攻でおひたし、じゅわっと出汁巻き、鍋料理のスープ……。
粉末だしも愛用している私ですが、基本は、天然のだしを取っています。
忙しさにかまけて敬遠していたり、袋入りだしパックを使っている時期もありましたが、「やっぱり、これやわ」と、天然のだしに戻るんです。
天然のだしを取るのは、すごく手間に感じる方もいらっしゃるかもしれません。それは、基本のだし、一番だしの取り方「だけ」を学ばれたからではないでしょうか。
今回は、基本的なだしの取り方、手軽なだしの取り方と、ほったらかしの水だしの方法、そして、だしがらの利用方法をご紹介します。
レシピについて
だしの取り方、そして、だしがらの活用法を、いろいろご紹介します。
「えっ! そんなんでいいの?」という方法もあるかもしれません。そんなんでえぇんですよ。
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基本的なだし 一番だしの取り方
かつお節と昆布を使った、基本的なだし「一番だし」の取り方を、作りやすく、使いやすい分量でご紹介します。
いわゆる、「出汁の引き方」です。
一つひとつの手順を、なぜそうするかも含めて、きちんとご説明します。
ですので一見、結構手間がかかりそうに見えますが、基本は、ほったらかしです。
タイミングを見計らうことが出来れば、慣れたも同然ですよ。
材料について
作りやすく、使いやすい分量
- 昆布 10g
- かつお節 20g
- 水 1000ml(1リットル)
step
1基本のだしでは、かつお節と昆布を使います。
かつお節と昆布を合わせて使うことで、うま味が強いだしになるためです。
理由をご説明します。
うま味は、うま味の素になる物質がありまして、その要となるのが、グルタミン酸というアミノ酸の一種、そして、核酸成分の一種であるイノシン酸とグアニル酸があります。
グルタミン酸は植物性の食材、イノシン酸は動物性の食材、グアニル酸はきのこ類に多く含まれています。
うま味は単独で使うよりも、アミノ酸のグルタミン酸に、核酸系のイノシン酸やグアニル酸を加えることで、相乗効果を発揮し、はるかに旨味が増します。
うま味を加えることでは、料理の仕上がりにコクがついたり、食材そのものの風味を増したりといった働きがありますので、濃厚に、そしてまろやかに仕上がります。
そのため、うま味を加えることで、調味料の分量を減らしても美味しく仕上がることにつながりますので、だしを上手に使うことは、美味しい減塩にもつながります。
step
2だしに使う昆布は、入手しやすく上品に仕上がる、真昆布を使っています。
昆布は色々な種類があり、だしを取るには、真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布が向いていると言われており、お好みやお値段で選ぶことが出来ます。
詳しくは、日本昆布協会さんの「こんぶネット」というWebサイト内にある、昆布の種類(昆布いろいろ)が、とても参考になります。
step
3かつお節は、花かつおを使います。薄削りともいい、薄く削ったかつお節です。
かつお節は、空気に触れると風味が飛びますので、封を開けたら、出来るだけ早く使い終わることが出来る量を購入するようにすると良いです。
私はいつも、80g前後入りを購入し、開封後は、できるだけ空気を抜いて封をして、冷凍庫で保存しています。週に1回だしを取りますので、ちょうど1か月程度で使い切っています。
スーパーなどのかつお節コーナーでは、厚削りや、少し安価な雑節(さば節、むろ節、そうだ節など)もあります。これらは、かなりコクのある濃厚なだしが取れ、しょうゆや味噌と相性が良いため、うどん・そばつゆなどを作るのに向いています。今回はスルーしましょう。
step
4水は、ベストは、きちんと浄水器を通した、カルキ臭を取り去った水が一番やと思います。
もし、ミネラルウォーターをお使いになる場合は、必ず軟水(国産の天然水など)を使いましょう。硬水(コントレックスとかエビアンなど)は、だしを取るのには向きません。理由は、水に多く含まれているカルシウムが昆布の表面に付くため、うま味が出ないためです。
一番だしの取り方
step
1まず、分量を計りましょう。昆布10gは、15cm程度の長さの昆布なら、1~2枚です。
step
2かつお節20gです。ふんわり入れると、直径16cmのボウルに、ちょうど一杯くらいです。
step
3昆布は、そのまま使って構いません。
昆布の表面には、汚れや砂が付いていることがあります。魚屋さんや専門店などで、包装されていない昆布を購入された際は、固く絞ったぬれ布巾か、ぬらして固く絞ったキッチンペーパーで、表面をさっと拭き取っておくと良いでしょう。くれぐれも蛇口の水でジャーと洗わないようにしましょう。うま味まで洗い流されてしまいます。
昆布の表面には、白い粒が付いていることがありますが、あれは、うま味成分のグルタミン酸の結晶ですので、そのままにしておきましょう。
step
4鍋に、分量の水と昆布を入れます。できれば、30分程度、そのまま置いておきましょう。
もちろん、前日から浸しておいても構いませんが、室温が10℃を超える時期は、冷蔵庫に入れておきましょう。
step
5鍋を火にかけます。このとき、10分程度で沸騰間際まで温めることを目安に、弱火より少し強めくらいの火加減にしましょう。
昆布は乾物ですので、水に入れて急に沸騰させても、うま味を充分に引き出すことが出来ません。このように、できれば水に戻しておいてから、10分くらいかけて沸騰間際まで温めることで、きちんと、うま味を引き出すことが出来ます。
step
6細かい泡が立ってきたら、沸騰間際のサインですので、
step
7昆布を取り出します。
このとき、うま味がきちんと引き出すことが出来ているか確認するには、昆布の厚みのあるところに、爪を立てます。爪がスッと入る状態なら、うま味が出ている状態です。
もし、残念ながら、まだ昆布が固いようなら、お玉1/3杯程度(30ml前後)の水を加えて温度を下げ、さらに時間をかけて沸騰間際までもっていきましょう。
step
8昆布を引き上げたら、いったん沸騰させます。こうすることで、昆布の乾物独特の匂いを取ります。
沸騰したら、大さじ1程度(15ml前後)の水を加えます。温度が下がり、沸騰がおさまりますので、すぐに、
step
9かつお節を一気に加え、弱火にします。
グラグラ煮立った状態に、少し水を加えて沸騰を抑える、このような水の加え方を「さし水」といいます。さし水をするのは、煮立った中にかつお節を加えると、香りが飛んだり、えぐみや渋味といった余計な味が出てしまうことがあるので、それを防ぐためです。
step
10かつお節の加熱時間は、料理によって使い分けると良いです。
A. お吸い物に使う場合:ひと煮立ちしたら、すぐに火を止めます。
ひと煮立ちとは、沸騰したら、ひと呼吸(すー・はー:あー、沸騰したなー、と思う程度)置くことです。そしたら、すぐに火を止めましょう。
かつお節は、いったん沸騰させることでうま味が出ます。この「ひと煮立ち」で火を止めると、かつお節独特のクセが無い、すっきりとしただしが出ます。お吸い物や、上品な薄味の煮物にぴったりです。
B. 煮物や味噌汁に使う場合:沸騰後、弱火のまま3~4分ほどじっくりと煮ます。
煮物や味噌汁に使う場合は、沸騰後、弱火のまま3~4分ほどじっくりと煮て、かつお節のうま味、そして味を、さらに引き出すと良いです。
この場合、「ひと煮立ち」で火を止めたものよりは、香りが弱くなり、また、かつお節独特の、酸味を感じるクセが出やすくなります。
でも、このクセは、みりんや味噌などで調整することが出来ますので、香りよりも味を活かしたい普段の料理、つまり、味噌汁や、具だくさんの煮物、具材そのものに甘味を含むおでんなどに使用する場合は、沸騰後、弱火のまま3~4分ほどじっくりと煮てから、火を止めると良いです。
いずれの加熱後も、浮いてきたアクを取り除きましょう。アクにも味の成分が含まれていること、出来上がりはこすため、あまり神経質にならなくても構いません。
step
11少し温度が下がると、かつお節が沈みますので、ざるの上に、ネル布巾、もしくは、キッチンペーパー(できれば不織布のリード)か、ガーゼ布巾を乗せて、静かにこします。
東京の家では買うてないんですが、私は、だしをこすために使う布のベストは、ネル地やと思います。
目がとても細かく、澄んだ綺麗なだしを取ることが出来るんです。
あと、一般的な一番だしのレシピでは「絞るなよ! 絶対に絞るなよ!」という旨が書かれていますが、煮物や味噌汁に使う場合は、こしたら、軽く絞っても構わないですよ。お吸い物に使う場合のみ、絞らず、自然にだし汁が落ちるのを待つと良いです。
絞ると、かつお節独特の、酸味を感じるクセが出やすいんです。これは先述のように、みりんや味噌などで調整することが出来ますので、後からしっかりと味付けをする場合は、それほど神経質にならなくても良いですよ。
step
12出来上がりです。これが、「一番だし」です。
初めてこの方法で、だしを取った方は、まずは、いつもと同じように、お吸い物やお味噌汁、煮物などに使ってみてくださいませ。
具材の香りが立ち、コクのある仕上がりになりますよ。
また、雑味や、余計な調味料の味がありませんので、いつもよりも薄味に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが大丈夫です。これが、基本の和食の味です。
出来上がっただし汁は、その日のうちに調理に使い切るのがベストです。もし余れば、きれいに洗ってよく消毒したお茶ポットなどに移して冷蔵庫に保存し、2~3日のうちに使い切るようにしましょう。
速攻だしの取り方
さきほどの項で、約1リットルの一番だしの取り方をご説明しましたが、「ちょっとだけ欲しい」「煮物を作りたいけど、だしが足りない・だしなんか取ってない」という場合は、次の方法で、簡単にだしを取ることが出来ますよ。
少量のだしの取り方
step
1茶こしに、かつお節約5g(小袋2袋目安)を入れて、200mlのお湯を注ぎます。100mlならかつお節約2.5g(小袋1袋目安)です。
お湯はカンカンに沸騰してなくて良いです。ポットのお湯で充分です。
おひたしや、出汁巻き卵にちょっと使いたい、和風ドレッシングを作りたい、といった場合に便利です。
かつお節の小袋は、おひたしなどにかけるだけではなく、このように、ちょっとだしを取る際にも役立ちます。
煮物と一緒に煮る
step
1お茶パックにかつお節を入れます。4人分の煮物で、かつお節ひとつかみ程度(10g程度・小袋なら2袋)が目安です。
おひたしや、出汁巻き卵にちょっと使いたい、和風ドレッシングを作りたい、といった場合に便利です。
かつお節の小袋は、おひたしなどにかけるだけではなく、このように、ちょっとだしを取る際にも役立ちます。
step
2かつお節を入れたら、お茶パックの封をしっかり折り込み、これを煮物と一緒に煮込みます。
旨味たっぷりの煮物に仕上がります。水から入れて、一緒に煮込んで、出来上がったら取り出す、それで構いません。
ほったらかしの「水だし」の取り方
お茶ポットに、昆布とかつお節または煮干しを入れて、水を注いで一晩冷蔵庫に置くと出来上がりです。
常備菜の作り置きをされている方は、作り置く前の晩に仕掛けておくと、煮物・汁物にはたっぷりと惜しみなく使うことが出来ます。私は毎週土曜日の晩(関西に行く際は金曜日の晩)に仕込んでおき、日曜日、作り置きの調理の際に使用しています。
また、冷えた状態ですので、おひたしや、出汁巻き卵、茶碗蒸しなど、だしを冷ましてから使うような料理にも、簡単に、すぐに使うことが出来ますよ。これが結構便利です。
関西に住んでおられる方は、お好み焼きやたこ焼きといった、「だしを使うととんでもなく美味しくなる、でも極力手抜きしたいB級グルメ」にも、ぜひお使いいただければと思います。すぐに使える、冷えただし汁ですので、生地がノリみたいになるといった悲劇的な失敗もありません。
最長1週間使用することが出来ます。でもそのためには、お茶ポットは、必ずしっかりと消毒してから使いましょう。リンク先でご紹介していますように、アルコール消毒でOKです。
昆布+かつお節
使用する材料は、基本のだしと同じ、昆布10g、かつお節20g、水1000ml(1リットル)です。
step
1お茶ポットの茶葉を入れる部分、無い場合はお茶パックに、分量のかつお節を入れます。
かつお節は、ぎゅうぎゅう押し込んで構いません。
step
2お茶ポットに、分量の昆布、手順1のかつお節を入れます。
step
3分量の水を静かに注ぎ入れます。
この、水を注いだ時点で、もううっすらと水が黄金色に色付きますが、さらに一晩、待ちましょう。美味しいですよ。
step
4冷蔵庫に入れて、ゆっくりとだしを取ります。6時間後くらいから、美味しく使えます。
ゆっくりと加熱せずにだしを引いていることから、昆布やかつお節の旨味がふんだんに溶け出していること、また、加熱していませんので、余分なえぐみが出にくく、とても上品な仕上がりになります。
美味しく使える期間は、1週間以内です。
ただし、だしをひいた後の昆布、かつお節は傷みやすいですので、残っただし汁を保存する場合は、次の点に気を付けましょう。
- さらにたっぷりと使う場合:使った分は、すぐに水を足しておき、昆布とかつお節がだし汁に浸るようにしておきましょう。1週間以内なら、水を継ぎ足しておけばOKです。充分に使えます。
- 残っただし汁の分量だけ使う場合:昆布とかつお節が、だし汁から出て空気に触れている状態の場合は、昆布とかつお節を引き上げておきましょう。その際、かつお節は絞っても構いません。引き上げた昆布とかつお節は、後述のように、だしがらとして活用するか、ラップに包んで保存しましょう。
昆布+煮干し
「煮干しのだしは匂いが強いから味噌汁くらいしか使えないのでは?」そんなことはありません。水でうまみをゆっくりと引き出すことで、不思議なくらい、あっさりと上品な香りと旨味を引き出すことが出来ます。
みそ汁にはもちろんですが、ぜひ、おひたしや、焼きびたしといった、青菜を活かした「えっ……煮干しだしで作りますかそれ」という料理に使ってみてくださいませ。キリッとスッキリした味で、とっても美味しいですよ。
使用する材料は、昆布10g、煮干し10g、水1000ml(1リットル)です。
step
1煮干し10gは、写真くらいの分量です。煮干しの大きさにもよりますが、5~6匹前後です。
お茶ポットの茶葉を入れる部分、無い場合はお茶パックに、分量の煮干しを入れます。
煮干しはそのまま使用して構いません。ひと手間かけて、頭を取り、身を開いて中のワタを取り除いて使用すると、雑味が抑えられるため、よりすっきりとした仕上がりになります。
step
2お茶ポットに、分量の昆布、煮干しを入れ、分量の水を注ぎます。
冷蔵庫に入れて、ゆっくりとだしを取ります。6時間後くらいから、美味しく使えます。
ゆっくりと加熱せずにだしを引いていることから、昆布や煮干しの旨味がふんだんに溶け出していること、また、加熱していませんので、余分なえぐみや、煮干し独特の臭みや苦味が出にくく、とても上品な仕上がりになります。
美味しく使える期間は、1週間以内です。
ただし、だしをひいた後の昆布、煮干しは傷みやすいですので、残っただし汁を保存する場合は、次の点に気を付けましょう。
- さらにたっぷりと使う場合:使った分は、すぐに水を足しておき、昆布と煮干しがだし汁に浸るようにしておきましょう。1週間以内なら、水を継ぎ足しておけばOKです。充分に使えます。
- 残っただし汁の分量だけ使う場合:昆布と煮干しが、だし汁から出て空気に触れている状態の場合は、昆布と煮干しを引き上げておきましょう。引き上げた昆布と煮干しは、後述のように、だしがらとして活用するか、ラップに包んで保存しましょう。
だしがらの活用方法
だしを取った後の昆布やかつお節、煮干しは、栄養の宝庫です。ミネラル、カルシウム、ビタミン、食物繊維といった栄養は、だしがらにたっぷりと含まれていますので、捨てるのはあまりにもったいないです。
だしがらは、手軽に、とても美味しくいただくことが出来ます。
色々な方法をご紹介します。
だしがらをすぐに使わない場合
step
1ラップにぴっちりと包みます。
調理するまでの保存期間が、3日以内なら冷蔵庫、それ以上の場合は冷凍庫に保存しましょう。
冷凍庫に保存した場合も、1か月以内を目安に調理しましょう。
ふりかけ
少し薄味仕立てで、たっぷりといただけるふりかけです。
具材のバリエーションもあわせてご紹介します。
作っておくと、ご飯のお供やおにぎりにはもちろん、パスタや納豆や冷奴にかけたり、ゆでておいた青菜と和えたりと、色々使えますよ。
だし1リットル1回分のだしがらを使い、250ml保存容器1杯分のふりかけを作るレシピをご紹介します。
冷蔵庫で2週間ほど日持ちします。
材料
250ml保存容器1杯分
- だしがら昆布・かつお節・煮干し 約100~120g(だし1リットル1回分)
- しょうゆ・みりん・酒 各大さじ1
- (あれば)オイスターソース 小さじ1/2
- 具材 いりごまなど(下記「具材のバリエーション」もご参照くださいませ) 大さじ1
具材のバリエーション
乾物
いりごま(白)
ちりめんじゃこ
青のり
焼きのり
乾燥えび
ひじき(戻したもの)
松の実
野菜・たんぱく質
大根・かぶの葉(粗みじん切り)
大葉(みじん切り)
青ねぎ(小口切り)
ひき肉(鶏または豚)
炒り卵
えのきだけ(粗みじん切り)
香辛料
山椒の粉
一味・七味唐辛子
しょうが(すりおろし・みじん切り)
作り方
step
1だしがらを細かく刻みます。フードプロセッサを使うと便利です。
step
2粗めのみじん切り程度でも構いませんし、
step
3粉々にしても良いです。
粗めのみじん切りは、昆布や煮干しの歯ごたえが、多少残った仕上がりになります。
粉々は、ご飯に混ぜ込みやすく、また、小さなお子さんやお年を召した方でも、いただきやすい仕上がりです。
step
4フライパンの上に、油をひかず、広げるように乗せて、
step
5弱火にかけます。弱火は、コンロとフライパンの半分くらいの間に炎の先がある程度です。
step
6から炒りして、余分な水分を飛ばします。焦がさないように、時々ヘラでかき混ぜながら、2~3分程度を目安に加熱しましょう。
少しパラッとしてきますので、具材に野菜・たんぱく質を入れる場合は、ここで追加します。乾物や香辛料を入れる場合は、ここでは入れず、次の手順に進みます。
step
7酒、しょうゆ、みりん、オイスターソースを加え、全体をよく混ぜ合わせます。
火加減は弱火のまま、焦がさないように加熱します。
調味料を入れたときは、写真のように汁気が多いですが、1~2分程度で、しっとりとした感じになりますので、
step
8お好みの乾物、香辛料を加えて、ざっと混ぜて出来上がりです。
step
9粗熱が取れたら保存します。
よく消毒した保存容器に入れて、冷蔵庫で保存します。
step
10少し調味料控えめですので、加える具材によっては、かなりたっぷりご飯にかけて、わしわしといただけますよ。
昆布の佃煮
昆布のだしがらを使って作ります。
少し調味料控えめで、やさしく甘辛く仕上げていますので、ご飯のお供にはもちろん、おつまみとしてもいただけます。
蒸し鶏、酢れんこんで使った昆布も活用できますよ。
材料
250ml保存容器1杯分
- だしがら昆布 約100~120g(だし1リットル2回分)
- 水 200ml
- しょうゆ 大さじ1
- 砂糖 小さじ2
- みりん・酢 小さじ1
- 具材 いりごまなど(下記「具材のバリエーション」もご参照くださいませ) 大さじ1
具材のバリエーション
乾物
いりごま(白)
ちりめんじゃこ
干し椎茸(戻したものを薄切り・戻し汁も使用)
大豆(戻したもの)
かつお節
野菜・たんぱく質
椎茸(薄切り)
ひき肉(鶏・豚)
豚肉細切れ
香辛料
山椒の粉
一味・七味唐辛子
しょうが(すりおろし・みじん切り)
作り方
step
1昆布を細切りにします。
写真のように、丸めてから端から切っていくと切りやすく、「切れずにすだれ状に繋がったまま」ということを防ぐことが出来ます。
step
2鍋かフライパンに、手順1の昆布、水、調味料を全て入れます。
次の具材を使う場合は、このタイミングで一緒に入れます。
ちりめんじゃこ/干し椎茸/大豆/椎茸/ひき肉/豚肉細切れ
step
3中火にかけます。中火は、炎の先がフライパンの底にちょうど当たって、炎が折れ曲がらない程度です。
step
4全体が沸騰してきたら、
step
5弱火にかけます。弱火は、コンロとフライパンの半分くらいの間に炎の先がある程度です。
step
6このまま、ふたをしてコトコトと煮込みます。放置で構いません。
昆布は、意外と柔らかくならない食材です。特に、佃煮といった濃いめの味で煮込むと、硬くなる性質があります。
水を加えず、調味料だけでさっと仕上げたいところなのですが、結構硬く仕上がってしまい、なんといいますか、「おいしいことはおいしいけど、歯ごたえたっぷりで表面だけ辛い、酒のアテにしかならない何か」になってしまいがちです。
このため、たっぷりめの水を加え、調味料の濃度が薄い状態から、時間をかけて、ゆっくりと煮詰めていくのです。こうすることで、昆布の佃煮を柔らかく仕上げます。
また、調味料に酢を加えているのは、昆布を柔らかく仕上げるためです。
味の仕上がりは、酢の酸っぱさは残らず、コクが出ますよ。
step
710~15分程度煮込んだら、ふたを取って、様子を見ましょう。
煮汁が少なくなり、昆布のかさよりも浅くなっていたら、ふたを取ったまま、時々ヘラでかきまぜて、焦がさないようにゆっくりと煮詰めていきます。
step
8煮汁がほとんどなくなったら、次の具材を入れて、ざっとかき混ぜて出来上がりです。
いりごま(白)/かつお節/山椒の粉/一味・七味唐辛子/しょうが
step
9粗熱が取れたら保存します。
よく消毒した保存容器に入れて、冷蔵庫で保存します。
お好み焼き・キャベツ焼き
ここまで、だしがらの活用法として、ふりかけと佃煮をご紹介しました。
でも正直、「別々にまたメニューを作るのは手間だし、バリエーションがあっても、飽きるものは飽きるし……」という方もいらっしゃるかと思います。
一番お手軽なのは、みそ汁に入れてしまうことです。でも、私のようにみそ汁をあまり作らないご家庭もありますし、何より、みそ汁を毎日ご用意するような二世帯以上のご家庭では、下手するとご家庭の不和にも繋がりますので、難しいところです。
あと、お手軽活用としては、おひたしに使うことです。いつも使うかつお節の代わりとして、かけたり、混ぜ込んでしまうことです。でも、だしがらの分量が多いので、ついつい忘れてしまうんですよね。
料理でのだしがら活用は、懐の深い、お好み焼きが解決します。
お好み焼きのタネには、ぜひそのまま入れちゃいましょう。
だしの旨味たっぷりですので、定番のソース&マヨだけではなく、あっさりとポン酢でも美味しくいただけますよ。
ここでは、スーパーヘルシーなキャベツ焼きのレシピを、簡単にご紹介します。
材料
たっぷり1人分~2人分
- かつお節のだしがら(昆布・煮干しだしを砕いたものでもOK) 約60~70g(だし1リットル1回分)
- キャベツ 1/4玉
- 塩 小さじ1/4
- 片栗粉 大さじ1
- サラダ油 大さじ1
- 仕上げ(ポン酢、中濃ソース、マヨネーズ、青のり、かつお節など) お好みで
作り方
step
1キャベツを粗みじん切りにします。1cm前後(人差し指の幅の2/3程度)の粗みじん切りが、歯ごたえよく、美味しく仕上がります。
step
2ボウルに手順1のキャベツ、塩、だしがらを入れ、全体を手でもみます。
step
31分ほどもむと、全体がしっとりしてきますので、片栗粉を加え、片栗粉が全体になじむまで、さらにもみます。
step
4フライパン全体に油を薄くひいてから、手順3のたねを全て入れます。
step
5ふたをして、
step
6弱火にします。弱火は、コンロとフライパンの半分くらいの間に炎の先がある程度です。
このまま15分ほど放置しておきましょう。
step
7裏側にきつね色の焦げ目が付いてきたら、ひっくり返します。
ふわふわ・もろもろでひっくり返すことが難しい場合は、全体をざっとかき混ぜて、
step
8きつね色の部分を全体に混ぜてから、形を整えます。
ふたは取ったまま、反対側が軽くきつね色になるまでじっくりと焼いて、出来上がりです。
step
9定番の中濃ソース&マヨネーズでも美味しいですが、
step
10しっかり旨味の仕上がりですので、かつお節+ポン酢(または三杯酢…酢:3倍濃縮めんつゆ1:1)で、あっさりといただいても美味しいですよ。
#酔いが回った時の写真ですね。なんでポン酢をWECKのフタに入れてるんや……
鶏つくね
もう一つの懐の深いメニュー、鶏つくねのたねに混ぜ込みます。
焼いて仕上げても、もちろん美味しいんですが、つくね鍋にすると、スープにだしがさらに染み出して、他の具材も含めて、ものすごく美味しくいただけますよ。
材料
4人分
- だしがら昆布・かつお節・煮干し 約100~120g(だし1リットル1回分)
- その他の材料 鶏つくねをご参照くださいませ。
作り方
step
1だしがらを細かく刻みます。フードプロセッサを使うと便利です。
step
2粗めのみじん切り程度でも構いませんし、
step
3粉々にしても良いです。
step
4つくねのたねを作ります。
鶏つくねの手順を参照し、つくねのたねを作ります。つくねのたねには、だしがらを混ぜ込みます。
step
5だしの旨味がたっぷりと含まれていますので、焼いた場合は、
step
6たれを絡めず、そのままでも美味しくいただけます。
特に、表面をカリッとしっかり焼くと、とても香ばしく美味しくいただけますよ。
step
7鍋料理では、だしの旨味がスープに溶け出して、より美味しくいただけます。つくねのたねを、鍋のスープにどんどん入れていき、中に火が通るまで煮込んで出来上がりです。
スープ例:水1000ml(昆布10g、あれば煮干し10g・干し椎茸2枚をつけておく)/鶏がらスープの素大さじ2/しょうゆ大さじ2/みりん大さじ1/塩小さじ1/2/酒100ml/おろししょうが1片分/ごま小さじ1)お好みで(にんにく1片分/こしょう小さじ1)
具材例:長ねぎ/もやし/キャベツ/緑豆春雨/ごぼう
二番だし
だしがらは、もう一度、だしを引くことが出来ます。
だしがらに水を加えて、ゆっくりと煮出し、最後にかつお節を加えてこして出来上がりです。煮物や、みそ汁のだしとして使えます。
私は普段、二番だしをとることは滅多にありません。
年末年始など、おせち料理の準備をしながら、その日の鍋料理を作ったり、年越しそばの準備をしたり、雑煮を仕込んだりと、まるでお店のようにだし汁が大量に必要となる場合のみ、この方法を取っています。
材料
4人分
- だしがら昆布・かつお節 約100~120g(だし1リットル1回分)
- 水 1000ml
- かつお節 5g(小袋2パック)
作り方
step
1鍋に、だしがら昆布・かつお節と、分量の水を入れます。
step
2強火にかけ、沸騰したら、
step
3弱火にします。弱火は、コンロとフライパンの半分くらいの間に炎の先がある程度です。
step
4このまま、ゆっくりと10分間煮ます。
step
5分量のかつお節を計り、
step
6火を止め、かつお節を加え、かつお節が沈むまで待ちます。
step
7かつお節が沈んだら、静かにこします。かつお節は絞っても構いません。これで、二番だしの出来上がりです。
終わりに
この記事を書くのに、ものすごく時間がかかりました。
でも、だしのレシピは、どうしても書きたくて、どうしてもお伝えしたかったんです。
理由をご説明します。
だしの取り方から話が飛ぶんですが、
例えば、「運動してリフレッシュ」「アロマテラピーで心身ともにやすらぎを」「泣ける映画で心のデトックス」「毎朝毎晩n分ずつの瞑想で心身のデフラグ」
昔からある自己啓発書、雑誌、広告やメディアなんかで、嫌でもよく目にする内容です。
とてもいいことなんです。
でもこういったこと、子育て中に出来ますか?
介護中にありえますか?
もしくは、一人暮らし、二人暮らしやけど、そんなお金も時間も余裕がないくらい、働きづめないとならない、考えないといけない状況がある場合、そもそもそんなことに視野がいきますか?
時代がもっと昔というのもありましたが、私自身が子育てや介護や金策などに必死やった頃、リフレッシュとかやすらぎとかデトックスとか瞑想とか、私からすると、それこそ異次元、小説や漫画の中の話でした。
で
そんな中で私は、忙しいときほど、だし汁をしっかりと取っていたんです。慣れても一番だしは30分はかかりました。さすがに泊まり込みのような時にはムリでしたが、でもそれでも、だし汁を取っていたんです。
なんでそんなことをしたか。
人間、美味しいものを食べると、幸せになるからです。
ちゃんと引いた、たっぷりのだし汁で、たった1品でもいいんで、いただく。
それこそ、引き立てのだし汁を少し分けて、ほんの少しの塩と酒としょうゆを垂らし、わかめとねぎを浮かせるだけでえぇんです。ある意味台無しですけど。でもある意味王道というか。
それを口に含んで、味わって、飲み込む。
すると、ほどなく喉の奥が痛くなって、気が付いたら涙がだーだー流れてるんですよ。
台所で味見してるだけやのに、不思議ですよね。夜中にだーだー涙が止まらないんですよ。やってることは、だしの味見なんですけどね。
疲れているほど、この、だしの味が、効くというか、刺さるといいますか。
これを知ってから、忙しい時ほど、疲れている時ほど、必ずだしを取るようになりました。夜中もしくは早朝にひとりものすごく集中して、だしを取ってるんですよ。なんか、こわいですよね。
「家族のために美味しい食事を作りたくて、だしを取った」とか、そんなキレイな話やなくてごめんなさい。
自分自身のためなんです。
でも、自分自身が幸せやと、健康やと、家族が、友人たちが、そして仕事で関係する方たちが、みんな幸せになっていく、それは事実かもしれません。
実際、心身ともにいつも健康で、はつらつとしている方と一緒やと、なんか、自分まで元気になるような気がする……、ご縁があって、そんな方たちとご一緒したことがあったからかもしれません。そういう方々みたいに、自分が、他の人たちにも元気を与えるような人になりたいなぁ……、明日、私と会う人たちが、みんな元気になるとえぇなぁ……。
そう思うて、だしを取って、そしていただいています。
えらい壮大というか、オーバーな話に思えるかもしれません。
でも、口にするものが、明日の自分を作るんです。
だし汁、大切です。
少しでも多くの方に、だし汁の美味しさ、手軽さ、そして、心身がとても喜ぶ味ということを伝えたくて、書きました。
ただ、決して間違えていただきたくないのは、だし汁をひくのは、「手段」だということです。決して、これを目的には、しないでください。
「丁寧にだし汁を取らないといけない! だしの素を使うなんてとんでもない!」それは、単なる“呪い”です。
ご自身や、ましてやご家族に、「丁寧にだしをとら“なければならない“」、そんな“呪い”をかけることだけは、お願いですから、本当に、本当にやめてください。それは間違った考えです。
忙しい毎日、顆粒だしの素を使う日があったって、別にえぇやないですか。あれは調味料としても優秀アイテムなんで、ぜひ常備しておきましょう。
だし汁、ぜひ、色々と活用していただければ幸いです。
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おすすめ食材、ツール
記事でご紹介した水出し用のお茶ポットは、パイレックスなどを造っておられるiwakiさんのポットを愛用しています。1リットル用の水だしをちょうど作ることが出来ます。横置きは出来ませんので、その点はご留意くださいませ。
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