みなさんからいただいた、調理に関するご質問、それに対する回答をまとめました。
適宜アップデートしていきますね。
料理をよく焦がしてしまいます。
火加減が強過ぎるのではないでしょうか?
家庭用コンロは、炎からフライパンや鍋に当たる距離が短いのです。そのため、火の強さは、「思っているよりも弱め」にすることで、焦げ付き、煮込み過ぎなどの失敗を、とても少なくすることが出来ます。
私は、炒め物などは、だいたい弱火でほったらかしです。中華料理でもシャキッと歯ごたえ良く、何より失敗なく仕上がります。揚げびたしも美味しく出来ますよ。
今一度、「火の強さ」を確認してみましょう。
弱火
弱火は、コンロとフライパンの半分くらいの間に炎の先がある程度です。
家庭用のガスコンロは、炎からフライパンや鍋に当たる距離が短いため、弱火でも充分に温まります。
中火
中火は、写真のように、炎の先がフライパンの底にちょうど当たって、炎が折れ曲がらない程度です。
コンロによっては、目盛りの半分の位置よりは、かなり弱めの位置になると思います。
強火
強火は「コンロMAX!!」ではなく、写真のように、炎の先がフライパンに当たって折れ曲がる程度です。コンロによっては、強めの中火といったところでしょうか。
特に、炒り煮や照り焼きにの仕上げなどは、合わせ調味料の糖分やしょうゆが焦げやすいですので、これくらいがベストです。
小さじ1、大さじ1とは具体的にどのような量ですか?
まず、「どのようなさじを、どうやって使うか」について、ご説明します。
小さじ1=5ml(5cc)、大さじ1=15ml(15cc)容量のさじです。
これに、「すりきり1杯」を入れて使います。山盛りではありません。
ですので、「小さじ2」と記載されていれば、5mlのさじに、すりきり2杯です。
また、小さじ3=5ml×3で大さじ1です。
食品によって、重さに換算すると、違ってきます。
以下に、代表的なものをメモしておきますね。
食品 | 小さじ1 5ml(5cc) | 大さじ1 15ml(15cc) |
---|---|---|
水 | 5g | 15g |
酒 | 5g | 15g |
酢 | 5g | 15g |
しょうゆ | 6g | 18g |
みりん | 6g | 18g |
みそ | 6g | 18g |
食塩 | 6g | 18g |
上白糖 | 3g | 9g |
はちみつ | 7g | 21g |
油 | 4g | 12g |
バター | 4g | 12g |
マヨネーズ | 4g | 12g |
トマトケチャップ | 5g | 15g |
小麦粉(薄力粉・強力粉) | 3g | 9g |
片栗粉 | 3g | 9g |
ごま | 3g | 9g |
パン粉 | 1g | 3g |
牛乳 | 5g | 15g |
ヨーグルト | 5g | 15g |
本やWebサイトなどに載っている濃い味のレシピを、うまく薄味にするにはどうすれば良いですか?
私は関西人ですので、というより酒飲みのせいか、好きな味は、「薄味かつ甘み控えめ」です。
調整方法は、だいたい次の通りです。
和食では、甘味の割合を抑える
たとえば、煮物で、しょうゆ:みりん:砂糖が、1:1:1、もしくは、1:1:2になっているレシピは多いかと思います。
その場合、2:1:1、もしくは2:1:0、つまり、しょうゆと甘味を1:1、もしくは2:1以下にします。
作りたいレシピのしょうゆの量はそのまま、もしくは少なくして、みりんや砂糖の割合を減らします。そうすると、関西風の薄味に近づきます。
また、汁物には、みりんや砂糖は、加えません。
濃い目に出汁を取り、しょうゆ(できれば薄口)と塩、酒で味付けをします。
私のレシピでも、おでんや、根菜汁などは、一切甘味を加えていません。
食材そのもの旨味や、酒の甘味で、充分に甘さを感じると思います。
酒の使い方
酒は、魚料理、特に青魚を煮る際には、たっぷりと加えることで臭みが飛び、旨味が増しますが、野菜などの煮物には、入れ過ぎないほうが良いです。
酒の量は、レシピ通りか、特に注釈がなければ、砂糖とともに控えてみるのもありです。
酒を加えると、とてもまろやかになるのですが、あまりダバダバ加えると、酒も糖分、甘味を含んでいますので、かえって味がボケて、しまらなくなり、結果、しょうゆなどを入れ過ぎて、全体的に濃い味になってしまいます。
酒はとても便利な調味料ですが、使い過ぎには要注意です。
油の使い方
油は、惜しみなく使います。
たとえば、作り置きレシピには出ていませんが、炒飯や麻婆豆腐とか回鍋肉などは、炒める際に4人分油大さじ5~くらいは最低でも使用します。
そうすることで、素材の旨味がギュッと閉じ込められ、余計な塩分や調味料を控えることが出来、結果、とてもあっさりした味わいになります。
また、「たいめいけん」のコールスローでは、サラダ油を大さじ6(90cc)という、かなり多い量ですが、サラダ油はとても油切れが良いので、さっぱりとした食感でいただくことが出来ます。
砂糖の使い方
和食では控えめに使っている砂糖ですが、トマトや肉を使った料理では、ほんの少し加えることがあります。
ミネストローネのように、甘味の出る野菜たっぷりの際は加えませんが、ボロネーゼやハッシュドビーフでは、小さじ1程度の砂糖をカラメルにして加えています。肉料理には、あえて砂糖を焦がして加えることで、深みのある味わいになり、余計な塩分を抑えた味付けになります。
また、さつまいも、かぼちゃなど、食材そのものが甘みをもった料理では、あえて少しだけ加えます。
砂糖は食材を柔らかくする働きがあること、そして、素材の甘み・旨味をより引き立てるため、結果として他の調味料を抑えることが出来ます。
みりんは、照りが付きますが、食材を固く締める働きがありますので、野菜料理では、砂糖を加え、みりんは照りを付ける程度に加えると、バランス良く仕上がりますよ。
酢と油
元のレシピが油と酢が1:1なら、少し酢を多めにします。2:1なら逆転くらいの勢いです。ただしその際、思い切って砂糖を加えると、くどくなく、さっぱりと、酢が苦手な方やお子さんでも、おいしくいただける仕上がりになります。
キャロット・ラペなどは、酢と油の割合が、一般的な基本のビネグレットと逆転しており、また、砂糖も多めですが、さっぱりといただけます。
また、マヨネーズはだいたい控えめにして、その分、オリーブオイルに替えたりしています。
調理に時間がかかってしまいます。スピードアップの方法などはありますか?
調理は、「並行」したり「分散」することが出来ます。
それぞれご説明します。
「並行」について
目指すのは、「出来上がりと同時に、洗い物も完了」です。
調理は一人でやることがほとんどかと思います。ですので、実際は一つひとつの作業は、並行(並列)ではなく、直列で行っているはずです。って、文章で書くとわかりづらいですね。
おひたしを作ることを例に、「調理器具の扱い」と「調理」のパートに分けて、ご説明します。
調理器具の扱い | 調理 |
---|---|
1. ボウルに冷やす氷水、ざるを用意し、お鍋にお湯を沸かし始めてから、 | - |
- | 2. 野菜を洗ったり根元を切ったりします。 ちょうど野菜の処理が終わった頃に、お湯が沸いてきますので、 |
- | 3. ゆでます。 ゆでたらすぐにざるにあけて、用意しておいた氷水にさらします。 |
4. 氷水にさらしている間に、使ったフライパン(または鍋)、ざるは洗ってふせておきます。 | - |
- | 5. 消毒した保存容器に合わせ調味料を用意します。 |
- | 6. 野菜の水気をよく絞って刻み、合わせ調味料で和えます。 すぐにいただく場合は、盛り付けます。 |
7. ボウル、ざる、包丁、まな板、和える際に使用した調理器具は洗ってふせておきます。少しの塩分と野菜の少しのアクだけですので、それほど洗剤は要りません。さっと落ちます。 | - |
8. いただきます・ごちそうさま→洗い物は食器のみ | - |
上記のような段取りで、野菜を洗ったり切ったりしたタイミングで、すぐにゆでることが可能、ゆでたらすぐに水にさらす、刻んだらすぐに和える、そして、「出来上がり」と同時に、洗い物も完了させることが出来ます。
これで、作り始めから完了まで、15分ほどまで縮めることが出来ます。もちろん、慣れたらもっと早く出来ますし、他の調理も並行して行うことが可能です。
ご注意点
慣れないと、とても焦ります。
たとえば、火加減が強すぎると、400ccや1リットルのお湯なんて速攻で沸きます。
また、なんせ同時並行ですので、慣れないうちは「えーと、今、何をやってたんやったっけ!?」なことになり、ゆですぎたり、水にさらしすぎて水っぽくなったり、せっかく合わせた調味料の入れ物をなぜか洗ったりします。
私が、上記のような段取りを、各レシピの手順に書かないのは、焦ったりして、かえっておいしく出来上がらないことを危惧しています。
もちろん、食材によって、「ゆであがりは速攻で氷水に冷やしたほうが良い」といった場合は、「事前に氷水を用意しましょう」の旨を記載しますが、そうでもない場合は、ゆっくり一つひとつの手順を、確実にこなせるように、「直列」で記載しています。
まずは、一つひとつの手順をしっかりと慣れて、覚えるくらいまで慣れてから、上記の並行作業を、少しずつ試してみる、ということをおすすめします。
「分散」について
「並行で行うのは、まだ慣れないから厳しいけど、少しでも効率良くしたい」───調理は「分散」させることが出来ます。
「おひたし」を例にしますと、ゆでた青菜は、それだけで保存が効きますので、次のような段取りが出来ます。
- 前日:ゆでて刻んで水気を切り、いったん冷蔵庫に保存する
- 当日:合わせ調味料を作って仕上げる
こうすることで、洗い物や片付けが別々になりますので、「あ、このタイミングで、別のことが出来るな」といったことが、実感としてわきやすいかもしれません。
効率化・時短を目指すのであれば、やりたいタイミングで、次の準備が出来ていることです。
これだけで、相当の時間短縮が出来ます。また、「出来上がりと同時に、洗い物も完了」は、気分的にも、かなり楽です。
ただ、「美味しくいただく」ことが何よりの目的ですので、お料理の「慣れ具合」と、相談しつつ、無理しないで「並行」「分散」することを、強くおすすめします。
2人分の材料を教えてください。
最近、このようなお問い合わせをいただくようになりました。
このサイトは「作り置きレシピ」をコンセプトにしていますので、「食べ切る量」ではなく、「作り置ける量」にしているため、2人分の記載がほとんどありません。
ここでは、4人分の材料を、2人分にする考え方をご説明します。
減らし方
まず、食材(野菜・豆・魚・肉)を半分にします。
調味料は、次のような考え方です。
- 和え物・炒め物:レシピの半量でOK
- 煮物:1/2量、ただし「水」「だし汁」がある場合は全体を2/3量で、少し残すことを目標に様子をみながら使います。これは、煮込んでいる間に煮汁が少なくなるので、そのリスクを回避しています。
鍋・フライパンのサイズ
煮込むのであれば、「鍋やフライパンのサイズ」を小さくしましょう。18cm以下を推奨します。
もし、大きい鍋(直径20cm以上)だと、4~6人分が最適ですので、2人分として上記の調味料や煮汁をはると、浅過ぎて食材に煮汁が被らないことがあります。
結果、なんかいっぱい足す→煮えてクタクタ粉々→煮詰まって辛い→クタクタ粉々の残念な辛いものが出来上がり……ということになりがちです。
2人分は、小さめのお鍋やフライパンで、味付けがだいぶ快適になります。
この大きさですと、途中水分がなくなったのにまだ煮込みが足りないときは、水や出汁を足していただいても大丈夫です。
加熱時間
炒め物、揚げ物、煮物の「加熱時間」は、4人分と同じで問題ありません。
でも、大きな鍋ですと、あっという間に蒸発しますので、これは、小さめのお鍋やフライパンで調理することを前提としています。
なすを調理したら黒ずんだ青色になってしまいます。
変色はなぜ起こるのか、どうしたら防げるのか、ご説明します。
変色はなぜ起こるのか
なすはアクが強いので、切り口が空気に触れると茶色く変色し、そのまま料理をするとえぐみが出て、仕上がりの色が青色や黒色に変色してしまいます。
このアクの正体は、切った面が空気に触れて化学変化が起こり、変色しています。具体的には、ポリフェノール化合物が空気に触れて酸化したものです。
サプリメントなどに入っているポリフェノールと同じものですので、食べても害はありません。とはいえ、青色や黒ずんだ色の仕上がりは、あまりおいしそうなものではありませんね。
変色を防ぐには
変色を防ぐには、切ったらすぐに水につけて、5~10分ほど置いてアクを抜くと良いです。
切ってすぐに使うときは水にさらさなくても良いです。なぜなら、空気に触れている時間が少ないので、変色するヒマもなく調理されてしまうためです。
まだ調理に慣れていないのでゆっくりと落ち着いて調理したい、おもてなし用に確実に用意したいといった場合は、切ったそばから水にどんどんつけていくと安心です。
水につけた場合は、なすの水気をキッチンペーパーでよく拭いてから、次の手順に進みましょう。
なすの料理で油を使う場合、私のご紹介するレシピは、なすのピリ辛炒り煮、なすと鶏肉のさっぱり焼き、揚げない揚げびたしなど、なすを油で和えてから(マリネしてから)、火をつける手順としています。
こうすることで、なすの切断面が油でコーティングされ、酸化を防ぐ=変色を防ぐので、簡単にとてもきれいな色に仕上がります。
レシピに出てくるめんつゆは3倍濃縮ですが、2倍濃縮やストレートしか手元にない場合はどうすれば良いですか?
まずは、そのまま使って味見、もし物足りなければ、まずはしょうゆだけを加え、少し甘味が足りないのであれば、みりんを加えます。
「えっ 味見に自信がない!むつかしい!」もう少し詳しくご説明します。
そもそも、濃縮つゆは薄めて使うのですか?薄めず使うのですか?
すべてのレシピは、そのまま薄めず使います。
また、一般的なレシピの材料で濃縮つゆが用いられている場合も、「○○で薄める」などの注釈がない限り、そのまま薄めず使います。
めんつゆ分量が「大さじ1~大さじ3」程度の場合
めんつゆは、手軽に出汁の旨味と、ほどよい甘味を加える目的で使用していますので、3倍濃縮がなく、2倍やストレートしかない場合も、同じ分量でお試しいただければOKです。
めんつゆ分量が「60cc(大さじ4)以上」の場合
まずは、そのまま使って味見、もし物足りなければ、まずはしょうゆだけを加え、少し甘味が足りないのであれば、みりんを加えます。
具体的な例として、揚げない揚げびたしの4人分では、3倍濃縮と同じ分量の、水300cc+めんつゆ(2倍orストレート)75ccで味見します。
そして、もし物足りなければ、しょうゆ大さじ1、または、しょうゆ・みりん各大さじ1目安で味見をします。
なぜ?
一般的なストレートめんつゆの作り方は、だし:醤油:みりん=4:1:1です。
市販のめんつゆ濃縮は、ざっくりとは、この、水分を濃くして、旨味や味そのものを濃縮しています。これを水で希釈することで、だしがのびて、しょうゆ、みりんの濃さが丁度よくなる、という具合です。
上記で例としました揚げない揚げびたしは、少し薄めの漬け込みつゆ───だし:醤油:みりん=8:1:1という割合がちょうど良い味付けになりましたので、3倍濃縮のめんつゆを使った場合、水300cc+めんつゆ75ccで疑似的に置き換えました。つまり、だし:醤油&みりん=4:1、です。
ですので、2倍濃縮の場合は、3÷2=1.5ですから、めんつゆ75cc×1.5=112.5cc≒110cc、水は全体量約370ccから110ccを引いた260cc
……と、理屈ではそうなのですが、メーカーによっては、甘すぎる・塩辛すぎる仕上がりになってしまいます。
これは、2倍濃縮は3倍濃縮と比べて、減塩、かつ、だしが効いているものもあれば、調味料も含めた濃度のため、料理の味付けに使うには、濃すぎる、もしくはよくあるのが甘すぎる仕上がりになる場合があるためです。メーカーによってさまざまです。
まずは、2倍なら3倍と同じ量で試し、味見をします。
そして、「うす味仕立で美味しい」と思ったら何も足さない、味が薄いと感じるなら、まずはしょうゆだけを加え、少し甘味が足りないのであれば、みりんを加えます。
濃縮めんつゆを使うのであれば、レシピで3倍だが手元に2倍なら、まずは3倍と同じ量で味見、そして、しょうゆで味見→みりんで味見、が確実です。
本当に、文字で書くと、なんだかややこしいのが、「めんつゆ倍数」ですね(ノ∀`)
でも、お伝えしたいのは、次の点です。
- めんつゆ分量が「大さじ1~大さじ3」程度の場合:3倍濃縮がなく、2倍やストレートのめんつゆを使う場合、同じ分量でお試しいただければOK
- めんつゆ分量が「60cc(大さじ4)以上」の場合:3倍濃縮がなく、2倍やストレートのめんつゆを使う場合は、そのまま使って味見→メーカーによって濃縮のクセがあるので、もし物足りなければ、まずはしょうゆだけを加え、少し甘味が足りないのであれば、みりんを加える
味見や、味の調整に自信がない
もしそうだとしても、大丈夫です。
まず、めんつゆを用いたレシピは、本来の目的の「つけつゆ・かけつゆ」として麺をいただくものがあります。これは、めんつゆのパッケージに適量が記載されていますので、それほど悩まないと思うんです。
問題は、おかずのレシピの調味料として用いられているものに、疑問が出ているかと思います。
私のご紹介しているレシピを含め、一般的なレシピでも、めんつゆを使用しているのは、手軽に出汁の旨味と、ほどよい甘味を加える目的で使用していること、また、おかずのレシピですので、食材の旨味や、ほどよい油分のコクが加わるため、多少薄味でもおいしくいただけます。特に、アツアツでいただく場合は、味が濃く感じますので、少し薄味仕立てが丁度良い味付けになります。
逆に、冷やしていただくような料理でしたら、もし濃くなっても、冷やすことで濃さが緩和されるため、かなり食べやすい味になります。
もし、味付けが苦手で、薄くなりがちなら「温かいもの」、濃くなりがちなら「冷たいもの」から試してみると、おいしく仕上がりやすいですよ。