今回は、飾り切りの方法を、お正月料理に使う飾り切りをメインにご紹介します。
飾り切りを行うことで、見た目が華やかに美しくなるのはもちろん、煮くずれしにくく、具材に味が染みやすく、美味しく仕上がるのも嬉しい点です。
覚えておくと、とても重宝します。
私が思いますのは、飾り切りは、難しいのではなく、もんのすごーーーく、手間がかかるんです。面倒なんです。難しいのをやっていないというのもありますが……。
特に、「ねじり梅」「花れんこん」は、最初にやってみた時、「えっ……、こ、こんなに手間がかかるん?」と、心の底からびっくりしました。こんなんあかんわ、飾り切りだけで1日が終わるわと。
とはいえ、よく切れる包丁、そして根気があれば、どなたでも出来るのが、飾り切りの良いところやと思います。
特に、ハレの日のごちそうには、ぜひ、お試しくださいませ。
レシピについて
こういうのは、慣れです。普段、時間の取れる際の下ごしらえに少し練習してみたり、慣れれば、下ごしらえは習慣として飾り切りにしたり。そういう人に、私はなりたい。
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もくじ
1. はじめに
2. ねじり梅
3. 花れんこん
4. 亀甲(六方)
5. 末広切り
6. 手綱こんにゃく
7. 矢羽根きぬさや
8. かまぼこの飾り切り
8-1. かまぼこ板の外し方
8-2. 結び
8-3. 祝い
8-4. うさぎ
はじめに
飾り切りは、「7mm」「1cm」「1.5cm」など、具体的な長さや幅の指定が出てきます。
切る度に測るのは大変ですので、あらかじめ自分の人さし指の幅を測っておくと、何かと便利です。
例えば、私の人さし指の幅は約1.5cmですので、1.5cmなら人さし指の幅、7mmならその半分、5mmなら1/3くらいを目安に作業を進めています。結構、便利ですよ。
そして必ず、良く切れる包丁を使いましょう。
切れない包丁は、凶器です。怪我の元です。
包丁を扱う際に、無駄な力が入ること、加えて、食材の表面に刃がスッと入らないため、滑る→ザクッ!
飾り切りは、特に細かい作業になりますので、くれぐれも怪我のないよう、良く切れる包丁を使いましょう。
私の使っている砥石や、包丁の研ぎ方については、こちらをご参照くださいませ。
ねじり梅
にんじんを花型に切り、さらに、花びらを立体的にします。
うまく出来ると、本当に美しいですよ。
1 | ![]() 1.5cm厚さは、だいたい、人さし指の幅程度です。 |
2 | ![]() 梅型を使わず、正五角形を意識して、5か所に2mmくらいの切り込みを入れ、V字に切り落として、包丁で花びらのように丸く形を整えていく、という方法が本来の手順なのですが、修行が足りず、また、大量に作るため、そんなことは私には出来ません。梅型は百均で売っていますので、それを使っています。大小あると便利ですよ。 抜いたあとの型は、私はお雑煮(根菜汁)に入れたり、ちらし寿司や炊き込みご飯の具材にしています。 ちなみに、この形は「梅型」です。これも立派な「飾り切り」です。3~5mm厚さの梅型を作って、お鍋に入れても、とても華やかですよ。梅型に抜いたあとの形も、ぜひお鍋に入れちゃってくださいませ。 |
3 | ![]() 切り込みは、外側は深めに、中心は浅めになるように入れます。 写真でわかりやすくなるよう、持ち上げて切っていますが、慣れないうちは、危ないですので、まな板に置いて切ると良いでしょう。 |
4 | ![]() 切り込みの線から、少し角度をずらして包丁を置き、切り込み線に向かって、表面を1/3ほど削るようなイメージで、斜めに包丁を入れます。そうすると、 |
5 | ![]() 慣れてきたら、手順4では、切り込みのすぐそばから包丁を入れ、次の切り込みに向かうようにして包丁を入れて削ると、よりなめらかな花びらになります。 |
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7 | ![]() 表側だけでも良いといえば良いのですが、両面入れることで、味の染み込み方や仕上がりが断然に良くなること、筑前煮などに入れる場合は、盛り付けの際に裏表が関係なくなるため、両面に入れておくと良いです。 |
花れんこん
れんこんの穴の形に沿うように、丸くなめらかに皮をむくと、お花のようになります。
ある程度厚みを持たせて、煮物や酢れんこんで歯ざわりを楽しんだり、ごく薄く切ると、ちらし寿司などの飾りとしても活躍します。
1 | ![]() 私は4cm程度の厚さに切ってから行っていますが、初めての方は、仕上がりの厚さになる7mm程度の厚さに切ってから行うと良いです。 |
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3 | ![]() 手で持ちながら包丁を縦に入れて切り込みを入れても良いですし、慣れないうちは、まな板の上に置いて、包丁の先を入れて切っても良いですよ。 |
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5 | ![]() 「穴の形に沿うように丸く」をイメージしながら、形を整えるように切ると、仕上がりがきれいになりますよ。 |
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8 | ![]() 穴が2つ並んでいるところはサボっていますね。まだまだ修行が足りませんね。 |
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10 | ![]() ちらし寿司などの飾り切りとしても活躍します。 |
亀甲(六方)
六方に皮をむいて形を整えることを、亀甲(きっこう)切り、六方切りといいます。
おせち料理用の食材として出回るくわいと、煮しめや筑前煮には欠かせない里芋でご説明します。
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2 | ![]() コツは、手前と反対側が平行になるように切り落とすことで、きれいな六角形になりますよ。 |
3 | ![]() 芽は「めでたい」の芽ですので、切り落としてしまわないようにしましょう。 |
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7 | ![]() 里芋は、くわいのような芽がありませんので、尖ったほうと、底側、両方を厚めに切り落とします。 |
8 | ![]() できるだけ、他の里芋たちと、高さがそろうようにすると、美しく仕上がります。 切った里芋は、たっぷりの水につけておきましょう。 |
末広切り
具材に1~3mmの切れ目を入れて、広げます。
筑前煮の水煮たけのこも、美しく、とても味が染みた仕上がりになりますよ。
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2 | ![]() 写真は筑前煮用として、ひと口大に切ってから2~3mm幅程度の切れ目を入れていますが、全体を縦半分に切った大きさのままで、1mm幅程度の切れ目をどんどん入れて、最後に縦に1/4~1/2に切り分けると、薄味の煮物にぴったりです。よ~く味が染みますよ。 |
手綱こんにゃく
こんにゃくを薄く切ってから、中央に包丁を入れて、くるんと通すと出来上がりです。
手綱(たづな)のように編んだ形になります。とてもよく味が染みますよ。
1 | ![]() 写真は徳用こんにゃくを使いましたので、縮尺がなんかおかしいです。手綱こんにゃくを作る場合は、徳用サイズではなく、普通サイズのこんにゃくを使うことをおすすめします。 |
2 | ![]() このとき、両端は、切り込みを入れた両側の幅より少し広め(普通サイズのこんにゃくなら約1cm程度───人さし指の幅2/3程度、徳用サイズなら約1.5cm程度───人さし指の幅程度)ずつ残しておきましょう。あまり切り過ぎると、調理している間に、手綱がほどけたり、ちぎれたりします。 |
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4 | ![]() 徳用サイズは、やっぱり縮尺がヘンですね。でかい。 |
矢羽根きぬさや
きぬさやの一方は平らに、一方にV字の切り込みを入れて、矢羽根のようにします。
普段はきぬさやの筋を取らない私ですが、この時はカットも兼ねて、ついでに筋を取っています。
1 | ![]() 写真は一人で撮っていますので、とってもわかりにくくてごめんなさい>< |
2 | ![]() 写真は一人で撮っているのでこのようになっていますが、普通に両手を使ってくださいませ。 |
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4 | ![]() これを、きぬさやの枚数分、何枚も行いますので、先に全てのヘタと筋を取り、その後で一気にV字に切ると、効率良く出来ますよ。 |
かまぼこの飾り切り
小型のかまぼこでも、簡単に美しく出来上がる飾り切りを3種類ご紹介します。
ひと手間かけるだけで、ちょっと豪華になりますので、おせち料理にはもちろん、前菜や酒の肴、うどんやにゅうめんのトッピングにもどうぞ。
かまぼこ板の外し方
1 | ![]() かまぼこは立てて置きます。 |
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3 | ![]() 包丁の刃を使うと、よく切れることから、弾力性のあるかまぼこの身まで切れてしまい、板に残ることがあるため、峰を使います。 |
結び
出来上がりが笹舟のようなカーブになりますので、中央に数の子やいくら、チーズを乗せたりしても華やかですよ。
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2 | ![]() 上は左から2/3まで、下は右から2/3まで、中央は端をそれぞれ1/4ほど残して切ります。 |
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祝い
少し手間ですが、慣れると面白いですよ。
写真はかまぼこ2切れですが、見栄えが豪華ですので、大葉をあしらって前菜や酒の肴、オードブルとしても活躍します。
1 | ![]() なぜ9mmかというと、これから3等分するためです。でも、だいたいでいいですよ。 |
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うさぎ
こんにゃくの手綱(たづな)の応用ですので、手綱とも呼ばれますが、「うさぎ」という呼び方のほうが好きですね。
煮物にした金時人参をストローで切り抜いたものを、うさぎの目にあたる部分にあしらうと、本当にうさぎみたいになりますよ。
1 | ![]() ちなみに、かまぼこを一番美味しくいただける切り幅は、12mmと言われています。お好みでぜひ、お試しくださいませ。若干丸々としたうさぎになりますが、確かに食べごたえがあり、美味です。 |
2 | ![]() このとき、白い部分もぜひ一緒に切るようにしましょう。仕上がりがきれいです。 |
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5 | ![]() 写真は耳がはねていますが、はねていても、かわいらしいですよ。 |

私の使っている砥石はこちらです。
この砥石は、水で濡らすだけで、すぐに研ぐことが出来ること、短時間で研ぎ上がること、また、へたれにくく、ケースが砥石台になるのも、とても扱いやすく気に入っています。詳しくは、こちらもご参照くださいませ。
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