かつお風味たっぷり 基本の数の子 

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かつお風味たっぷり 基本の数の子 

冷蔵5日


基本の数の子

今回は、基本の数の子のレシピを、より簡単な皮のむき方、苦くならないコツと併せてご紹介します。

私は酒飲みだからでしょうか。数の子が大好きです。でも、子どもたちは、小さい頃から大好きでした。いつも出すとすぐに食べつくされてしまったので、いつかフライドポテトLサイズ大盛りのようにモリモリと数の子を食べさせてあげたいと思ったほどです。

数の子って本当に、幸せの味がします。そして、今年も無事に、正月を迎えられたという、喜びの味でもあります。

独特の歯ざわりが口中を駆けめぐり、そして、かつおの豊かな風味が鼻腔にふわあぁぁっと広がって、贅沢にハレの日を楽しむことが出来ます。ぜひ、お試しくださいませ。

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レシピについて

数の子は、半日~1日かけて、少し塩気を感じる程度まで塩分を抜き、合わせ調味料に直接かつお節を入れてこした、かつお風味たっぷりの漬け汁に漬け込みます。

数の子料理は、きれいに皮を取り除くことが、美味しく仕上がる大きなポイントです。
皮むきの際は、指に、ほんの少し重曹を付けると、割と簡単に皮をむくことが出来ます。また、独特のえぐみも抑えることが出来ます。

材料

4~5人分

  • 数の子 300~400g(8~12本)
  • ■下ごしらえ用
  • 水 1リットル
  • 塩 小さじ1
  • ■皮むき用
  • (※1)重曹 小さじ1
  • ■合わせ調味料
  • 水 400ml
  • 酒 80ml(大さじ5+小さじ1)
  • しょうゆ 80ml(大さじ5+小さじ1)
  • (※2)みりん 40ml(大さじ2+小さじ2)
  • かつお節 20g

(※1)重曹はなくても構いませんが、重曹をつけることで、数の子の薄皮が柔らかくなってむきやすくなります。また、独特のえぐみを抑えることが出来ます。
(※2)酒飲みの方は、みりんは省くと、よりキリッと、すっきりとした味わいになります。

6~7人分

  • 数の子 500~600g(12~16本)
  • ■下ごしらえ用
  • 水 1.5リットル
  • 塩 小さじ1.5
  • ■皮むき用
  • (※1)重曹 小さじ2
  • ■合わせ調味料
  • 水 600ml
  • 酒 120ml(大さじ8)
  • しょうゆ 120ml(大さじ8)
  • (※2)みりん 60ml(大さじ4)
  • かつお節 30g

(※1)重曹はなくても構いませんが、重曹をつけることで、数の子の薄皮が柔らかくなってむきやすくなります。また、独特のえぐみを抑えることが出来ます。
(※2)酒飲みの方は、みりんは省くと、よりキリッと、すっきりとした味わいになります。

作り方

step
1
数の子の塩を抜くための、塩水を作ります。

塩を抜く際には、真水ではなく、塩水を使います。これは、数の子のびっしりとした卵一つひとつまで充分に塩漬けされているため、もし真水に漬けると、さっさと表面の部分だけが塩が抜けてしまい、中のほうは塩辛いまま、となってしまうのです。

これを防ぐため、塩水を使うことによって、浸透圧───「水溶液の中で濃度に差があると、全体を均一な濃度にしようとする働き」を利用します。濃度の高い数の子の卵一つひとつの塩分を、濃度の薄い塩水の塩分に、だんだんと移動させるのです。時間はかかりますが、中身まで確実に塩分を抜くことが出来る、というわけです。

なお、この現象を利用した調理法は、「呼び塩」「迎え塩」と呼ばれます。

塩水を作ります

step
2
作った塩水に数の子を入れ、冷蔵庫に保存して、塩抜きをします。

トータルで半日(12時間)~1日(24時間)が塩抜きの目安ですが、加工メーカーによってさまざまですので、途中で味見をします。

8時間~12時間(一晩)を目安に、端を少しちぎって食べてみます。少し塩気を感じるくらいになっていれば塩抜き完了です。ざるにあげておきましょう。まだしょっぱいようなら、もう1度、塩水を作って取り替えて数の子を漬け込み、さらに今度は6時間後を目安に、同じように数の子の端をちぎって味見をします。

作った塩水に数の子を入れます

step
3
塩を抜きすぎた場合、苦くなります。その場合は、水1リットルあたり塩小さじ2の濃い目の塩水を作り、1~2時間ほど数の子を入れると、苦味が取れます。

ところで写真の数の子は、割れ数の子です。お重に詰める場合は切りますので、割れ数の子でも充分です。とても小さいように見えますが、うちでは数の子を1kg以上いただきますので、もう販売されていない2.4リットルサイズのジップロックコンテナー2つ×2回に分けて塩抜き・味付けするため、縮尺がおかしいです。

作った塩水に数の子を入れます

step
4
数の子の塩抜きをしている間に、合わせ調味料を作ります。分量の水、酒、しょうゆ、みりんを鍋に入れて、加熱します。


合わせ調味料を作ります

step
5
沸騰したら、弱火にして、かつお節を入れます。弱火のまま3分ほど加熱し、ゆっくりと、かつおのだしを取ります。

この間は放置しましょう。ぐらぐら煮立てたり、かき混ぜると、にごったり、えぐみが出たりしますので、弱火で放置が一番です。

沸騰したら、かつお節を入れます
そのまま3分加熱します

step
6
火を止めて、かつお節が沈んだら、よく消毒した保存容器を用意して、ざるでこします。


ざるでこします

step
7
塩抜きしてざる上げした数の子の薄皮をむきます。指先を水で濡らし、重曹をほんの少し指に付けて、数の子の表面を、指の腹でやさしくこするようにすると、白い膜のようなものがズルズルっと外れていきます。

これが、数の子の薄皮です。指でつまめるようになれば、引っ張って取り除きましょう。重曹を付けることで、薄皮が柔らかくなってむきやすくなります。また、独特のえぐみを抑えることが出来ます。

数の子の、裏側といいますか片方には、くしのような等間隔に入った割れ目があります。これは「櫛目」と呼ばれる箇所で、数の子の身が崩れやすいですので注意しましょう。この櫛目をポイントに指の腹でこすると、薄皮がびろびろ~っと外れます。

面倒ですし、指先も冷たいですが、薄皮が残ったままだと口当たりが悪くなり、仕上がりに雲泥の差が出ます。「数の子が嫌い」という方のご意見をうかがいますと、この薄皮が付いたまま調理されたものを食べて気持ち悪い思いをした、という方が多数いらっしゃいました。ぜひ、出来るだけきれいに、薄皮を取り除きましょう。

数の子の皮をむきます

step
8
薄皮を取り除いた数の子は、重曹を水でしっかりと洗い流します。その後、キッチンペーパーか清潔な布巾で水分を取り除きます。

重曹を洗い流さないと、ものすごく苦く仕上がってしまいますので、必ず水で洗い流しましょう。

キッチンペーパーで水気を取ります

step
9
手順5の合わせ調味料が完全に冷めたことを確認できたら、手順8の数の子を漬け込みます。数の子には絶対に熱を通さないようにしましょう。

このまま8時間以上、冷蔵庫でねかせて、味を染み込ませて出来上がりです。

合わせ調味料に漬け込みます

step
10
いただく際は、バラバラにならないように、櫛目に添って包丁を入れるか折ります。

私は手でパキパキ割っています。その際は、使い捨ての手袋を使っています。この時期、そして、おせち料理でアクの強い根菜などをたくさん扱うと、特に手が荒れますので、しょうゆベースの食材を素手で扱えないためです。

そして、衛生面の観点です。仕上がり以降、火を通さないで保存する食材を素手で扱う際には、手指が丈夫な方も、ぜひ、使い捨て手袋のご使用をおすすめします。お正月時期に食中毒になると、目も当てられません。

いただきます

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作り置きのコツ・ポイント

  • 数の子は塩水でゆっくりと塩を抜きます。味見をして、少し塩気を感じる程度でOKです。
  • 薄皮は出来るだけ取り除き、重曹はきれいに洗い流しましょう。重曹が付いたままですと、ものすごく苦い仕上がりになります。その後、水分をよく切ってから、合わせ調味料に漬け込みましょう。
  • 合わせ調味料を作る際は、かつお節を加えたら、グラグラ煮立てたり、かき混ぜたりしないようにしましょう。
  • 合わせ調味料が完全に冷めてから、数の子を加えるようにしましょう。

アレンジのヒント

  • 数の子は、たっぷりと作っても、速攻で完売しますので、あまりアレンジがないのです。でも、もしみりんを加えても、甘味のほとんどない味付けですので、リメイクアレンジはしやすいです。一番好きなのが、松前漬けです。乾燥するめ千切り、昆布を戻して切ったもの(松前漬けの元としても乾物コーナーにありますね)に、お好みの量の数の子を加え、みりん、酒、しょうゆを1:1:1で漬け込みます。
  • 「いや、そのしょうゆ味がもう飽きたんですが」という場合は、クリームチーズ+アボカド+お好みでわさび少しを加えて、1cm幅程度に切った(折った)数の子を和えてみましょう。クリームチーズとアボカドは、面倒でなければ、角切りと練ったものを半々にすると良いです。味は、漬け汁かしょうゆをほんの少しだけ加えて調節します。

おすすめ食材、ツール

しょうゆはここ2年ほどで、「ヤマサ醤油 鮮度生活 特選丸大豆しょうゆ」に落ち着きました。使い終わりまでずっとしょうゆの色が、おろしたての淡く赤い色、旨味と香りを保つのが、とてもうれしいです。


みりんは、タカラの本みりんを愛用しています。スーパーで安価に入手できて、まろやかな甘味や照りが付くので、ずーっと使用しています。


料理酒はタカラ「料理のための清酒」を愛用、1.8リットルパックで購入しています。塩分が含まれていないこと、また、飲むお酒では抑えられている雑味の中に含まれている、調理には有効な旨味成分を引き出すよう、独自の酵母で造られた清酒ですので、味のバランスが崩れず、ふんわり、まろやかに仕上がります。

料理に使う酒は、ぜひ、アルコール入り、食塩無添加の酒を使いましょう。
酒は、材料の臭みを消したり、材料を柔らかくしたり、さっぱりとした甘味を付けたり、野菜の煮物にコクを付けたりと、その役割はとても大きいです。

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