にしんの昆布巻きは、身欠きにしんを、昆布で巻いて煮付けた、とても贅沢な一品です。
佃煮よりもかなりあっさりとした仕上がりですので、ぱくぱくお箸が進みます。
レシピについて
本乾身欠きにしんを一晩かけて戻し、昆布で巻いて、かんぴょうで止めて、炊き上げます。
鍋またはフライパン、圧力鍋、それぞれの炊き方をご紹介します。
- 身欠きにしん(本乾) 4~5本
- 日高昆布 50~60g(5cm幅×35cm長さ×4~5枚目安)
- かんぴょう 20g
- ■身欠きにしんの下ごしらえ用
- 米のとぎ汁 600ml程度
- (または) 水600ml程度+米 または米ぬか 大さじ1
- 番茶(緑茶、ほうじ茶など、緑茶が入っているもの) 大さじ1
- ■かんぴょうの下ごしらえ用
- 塩 小さじ1
- ■合わせ調味料
- 酒 150ml
- 砂糖 小さじ2
- 酢※ 大さじ1(15ml)
- みりん 大さじ2(30ml)
- しょうゆ 大さじ2(30ml)
- 日高昆布の戻し汁 250~300ml程度
※酢は、にしんを柔らかく煮るために入れています。煮付けた後に酸味は残りません。また、仕上がりにコクが加わります。
- 身欠きにしん(本乾) 6~7本
- 日高昆布 75~90g(5cm幅×35cm長さ×6~7枚目安)
- かんぴょう 30g
- ■身欠きにしんの下ごしらえ用
- 米のとぎ汁 900ml程度
- (または) 水900ml+米ぬか大さじ2程度
- 番茶(緑茶、ほうじ茶など、緑茶が入っているもの) 大さじ1+1/2
- ■かんぴょうの下ごしらえ用
- 塩 小さじ1+1/2
- ■合わせ調味料
- 酒 220ml
- 砂糖 大さじ1
- 酢 大さじ1+1/2(23ml)
- みりん 大さじ3(45ml)
- しょうゆ 大さじ3(45ml)
- 日高昆布の戻し汁 350~400ml程度
※酢は、にしんを柔らかく煮るために入れています。煮付けた後に酸味は残りません。また、仕上がりにコクが加わります。
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作り方
step
1身欠きにしんを戻します。幅広の保存容器に、にしんを並べ、かぶる程度の米のとぎ汁、または、水に米または米ぬかを加えたものを注ぎ入れ、冷蔵庫で1日(24時間)置いて戻します。
にしんには脂がかなり含まれており、身欠きにしんとして乾燥する間に脂の酸化が進み、特有の渋みや臭みの原因の一つとなります。身欠きにしんを戻すと脂がたくさん出るのはそのためです。米や米ぬかにはリパーゼという脂肪分解酵素が含まれており、酸化した脂質を取り除く力があるため、にしんを戻す際には米のとぎ汁を使用します。
にしんによっては、ものすごい量の脂が浮き出てギトギトになりますので、もしあれば、脂を洗い流しやすいホウロウの容器を使うことをおすすめします。
にしんが容器より大きい場合は、写真のように、中央で折って入れるとよいです。
この状態で3日間保存することが出来ます。乾物を使ったおかずを柔らかく仕上げるコツは、戻す際にしっかりと中まで戻すことです。もし、柔らかく煮ることが出来るのか不安という場合は、2~3日ほど置くことで、確実に柔らかく仕上がります。
step
2鍋に手順1のにしん、お茶パックに入れた番茶を入れ、かぶる程度の水を入れて強火にかけます。沸騰したら弱火にし、ふたを外して2~3分ほど煮て、番茶を取り除き、ざるにあげます。
にしんの漬け汁は使いませんので捨てます。
番茶でゆでることで、特有の臭みと脂を取り除きます。番茶は、お茶の葉をお茶パックに入れて封をしてからゆでると、お茶の葉がにしんに付かず、とても扱いやすいです。
番茶は急須で用意しても構いません。また、番茶を沸騰させてから、にしんを加えても構いません。
step
3昆布は、並べて充分にかぶるくらいの水に20分ほど漬けて、水気を切っておきます。昆布の戻し汁は、あとで使いますので、捨てずに置いておきましょう。
step
4かんぴょうは水でぬらし、分量の塩でよくもんで、水を入れて、もみながら洗います。水がきれいになったら、かんぴょうをきれいな水に10分ほどつけて、18~20cm程度(包丁の刃の長さ目安)の長さに切ります。
「水を注いで、もんで、捨てる」を、水がきれいになるまで、何回か繰り返します。
幅が広すぎるかんぴょうは、半分の幅の細さに切りそろえておきましょう。
かんぴょうの扱いに慣れていない方や、結ぶのが苦手な方は、少し長め、包丁の長さ程度に切るほうが扱いやすいです。長さが余ったら、仕上がってからキッチンバサミで切って整えればよいです。
step
5手順2のにしんを切ります。硬いエラを切り落としてから、戻した昆布の幅程度の長さに切ります。
step
6巻きます。戻した昆布、切ったにしん、かんぴょう、まな板を並べます。
まな板は縦向きにして、キッチンペーパーを敷いておくと、すべりやすい昆布が安定して扱いやすいです。
step
7昆布の手前に、にしん2~3切れを置いて巻きます。
細いものなら3切れ、太いものなら2切れくらいが、昆布の割り当て的にも、良い感じです。
昆布が短い・細い場合は、2枚をあてがうようにして敷いて巻くと良いです。1枚でないとダメというルールはありません。
step
8爪楊枝で止めてから、その横にかんぴょうをゆるめに巻いて、結び目をしっかりとくくります。
ぬるぬる&つるんつるんの昆布で、ギトギトのにしんを巻きますので、慣れないうちは、イライラするくらいに巻きにくいです。えいっと巻いて、真ん中に爪楊枝を刺してから、その横にかんぴょうを巻いて結ぶと、やりやすいです。
かんぴょうは、少しだけゆるめに巻いて、結び目をしっかりとくくるのがコツです。煮付けると、昆布がふくらむためです。
出来上がったら、ひと口大に包丁で切りますので、かんぴょうは2本以上使うとよいです。昆布が割と細いものなら、かんぴょう1本で結んでも構いません。しっかり煮付けると、あとで切っても、ある程度形を保っています。
step
9鍋に、手順8の昆布巻きと、合わせ調味料のうち、酒、砂糖、酢を加えてから、昆布巻きがかぶるくらいの分量の昆布の戻し汁を注ぎ、ふたをして火にかけます。
みりん、しょうゆは、ここで加えると硬く仕上がりがちになるため、このタイミングでは加えず、後で加えます。
【鍋またはフライパンで炊く場合】沸騰したらアクを取り、少しずらした状態でふたをし、昆布が柔らかくなるまで、弱火で20~30分ほど加熱します。
【圧力鍋で炊く場合】圧力鍋を高圧に設定して加熱し、圧力がかかったら、おもりが揺れる程度に火を弱め、1分間加圧して火を止めて、圧力が抜けるまで、自然に放置します。
step
10みりん、しょうゆを加え、煮汁が半量になるまで15~20分ほど煮詰め、そのまま冷まします。圧力鍋をお使いの場合は、圧力はかけずに煮詰めます。
もし煮汁が減っていたら、昆布巻きが1/2程度まで浸かる程度に、昆布の戻し汁または水を足しましょう。
煮付けたら、煮汁に漬けて冷ますことで、味がしみ込み、調味料控えめでも、くどくなくしっかりとした味に仕上がります。
step
11保存の際は、
粗熱を取ってから、充分に消毒した保存容器に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。
出来立てよりも、半日以上ねかせたほうが、より味がなじんで、おいしくいただけます。
step
12いただく際は、ひと口大に切ってから盛り付けます。
かんぴょうが長すぎて余っている場合は、キッチンバサミで切って整えるとよいです。
作り置きのコツ・ポイント
- 乾物を使ったおかずを柔らかく仕上げるコツは、戻す際にしっかりと中まで戻すことです。もし、にしんを柔らかく煮ることが出来るのか不安という場合は、2~3日ほど置くことで、確実に柔らかく仕上がります。
- にしんを番茶でゆでることで、特有の臭みと脂を取り除きます。
- かんぴょうは、キツキツではなく、少しだけゆるめに巻いて、結び目をしっかりとくくるのがコツです。昆布がふくらんでキツキツになるのを防ぎます。
- 煮汁に漬けて冷ますことで、味がしみ込んで、調味料控えめの、くどくなくしっかりとした味に仕上がります。
- 保存の際は、粗熱を取ってから、充分に消毒した保存容器に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。
アレンジのヒント
- ハレの日用に、身欠きにしんを巻いていますが、昆布だけでも、また、鮭、鶏ひき肉、豚薄切り肉を巻いても、とてもおいしくいただけます。
- いただく際にかけておいしい具材:一味・七味唐辛子/しょうが千切り/実山椒(佃煮でも)
- 細かく刻んで:ちらし寿司や、混ぜご飯の具材、おにぎりの芯にも。/鶏ひき肉と合わせて、つくねにしても。/卵と混ぜて、卵焼きの具材にしても。
ひとこと
今日は、にしんの昆布巻きのレシピをご紹介しました。
にしんのイノシン酸と、昆布のグルタミン酸、旨味成分の相乗効果で、おいしくないわけがないのです。
私は毎年、年末にたっぷりと作り、お正月が終わっても、最初の仕事始めの週は、お正月の余韻として長々といただいています。
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おすすめ食材、ツール
愛用品のキッチンバサミです。皮やスジ付き、調理済みの肉、骨付きの魚、ヌルヌルのイカも、皮ごと滑ることなくスパッと切れます。カーブがあるので、まな板、バットやお皿に乗っているままの食材も切りやすく、また、野菜などはこれでスパスパ切っています。錆びないのも嬉しいですね。使い方のコツは、大きく刃を開いて一気に切ることです。面白いように切れます。紙を切ったり、刃先だけで切るのは不得意ですので、完全に調理用専用バサミとして使用しています。
しょうゆはここ2年ほどで、「ヤマサ醤油 鮮度生活 特選丸大豆しょうゆ」に落ち着きました。使い終わりまでずっとしょうゆの色が、おろしたての淡く赤い色、旨味と香りを保つのが、とてもうれしいです。
みりんは、タカラの本みりんを愛用しています。スーパーで安価に入手できて、まろやかな甘味や照りが付くので、ずーっと使用しています。
料理酒はタカラ「料理のための清酒」を愛用、1.8リットルパックで購入しています。塩分が含まれていないこと、また、飲むお酒では抑えられている雑味の中に含まれている、調理には有効な旨味成分を引き出すよう、独自の酵母で造られた清酒ですので、味のバランスが崩れず、ふんわり、まろやかに仕上がります。
料理に使う酒は、ぜひ、アルコール入り、食塩無添加の酒を使いましょう。
酒は、材料の臭みを消したり、材料を柔らかくしたり、さっぱりとした甘味を付けたり、野菜の煮物にコクを付けたりと、その役割はとても大きいです。