冷蔵5日
私の一番の大好物、それは、おでんです。
疲れて帰って来ても、味のしみ込んだおでん、それにお酒があると、もうそれだけでリセット&充電完了です。
昔、小料理屋でおでんを食べたら、それはもう、本当に本当に美味しくて。おかみさんに、下ごしらえのコツを、ほんの少しだけ教えていただくことが出来ました。それは、おでんはコトコトひたすら煮込むからおいしい……のではなく、しっかり下ごしらえをしてから、軽く火を通せばそれでおいしいのよ、というものでした。それは当時、まさに目から鱗でした。
そのアドバイスをもとに、毎年毎年、何年も作り、下ごしらえをきちんとした、おいしいおでんを作ることが出来るようになりました。少し時間と手間がかかりますが、とてもおいしく仕上がります。
レシピについて
だしをきかせて、うすくちしょうゆを使う、関西風の味付けです。
材料は作りやすい4~6人分のみの記載です。
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材料
4~6人分
- 大根 1/2本(500g)
- 卵 4~6個
- じゃがいも 中4~6個(100g程度×4~6個)
- こんにゃく 2枚(220~250g×2)
- 牛すじ肉 150~200g
- ■練り物
- 厚揚げ 2枚(150g前後、8cm角前後×2)
- 調理用焼き竹輪 2本
- ごぼう天 4~6本
- さつま揚げ、がんもどきなど 計4~6個
- ■だし
- 水 1500ml
- 昆布 15g(10cm長さ×1~2枚)
- かつお節 30g
- ■調味料
- うすくちしょうゆ 100ml
- 酒 80ml
- 塩(※) 小さじ1+1/3
- ■いただく際
- 練り辛子、七味唐辛子、柚子胡椒、生姜じょうゆ等 お好みで
(※)具材を練り物メインで作る場合は、塩は加えないで作り、出来上がりの味見の際に、小さじ1/4程度から調整することをおすすめします。
作り方
手順がたくさんありますので、今回は、節目に分けてご説明します。
だしの取り方
step
1昆布は、そのまま使って構いません。
昆布の表面には、汚れや砂が付いていることがあります。魚屋さんや専門店などで、包装されていない昆布を購入された際は、固く絞ったぬれ布巾か、ぬらして固く絞ったキッチンペーパーで、表面をさっと拭き取っておくと良いでしょう。くれぐれも蛇口の水でジャーと洗わないようにしましょう。旨味まで洗い流されてしまいます。
昆布の表面には、白い粒が付いていることがありますが、旨味成分のグルタミン酸の結晶ですので、そのままにしておきましょう。
step
2鍋に、分量の水と昆布を入れます。できれば、30分程度、そのまま置いておきましょう。
もちろん、前日から浸しておいても構いませんが、室温が10℃を超える時期は、冷蔵庫に入れておきましょう。
step
3鍋を火にかけます。このとき、10分程度で沸騰間際まで温めることを目安に、弱火より少し強めくらいの火加減にしましょう。
昆布は乾物ですので、水に入れて急に沸騰させても、うま味を充分に引き出すことが出来ません。このように、できれば水に戻しておいてから、10分くらいかけて沸騰間際まで温めることで、きちんと、うま味を引き出すことが出来ます。
step
4細かい泡が立ってきたら、沸騰間際のサインですので、昆布を取り出します。
このとき、旨味がきちんと引き出すことが出来ているか確認するには、昆布の厚みのあるところに、爪を立てます。爪がスッと入る状態なら、旨味が出ている状態です。
もし、残念ながら、まだ昆布が固いようなら、お玉1/3杯程度(30ml前後)の水を加えて温度を下げ、さらに時間をかけて沸騰間際までもっていきましょう。
step
5昆布を引き上げたら、いったん沸騰させます。こうすることで、昆布の乾物独特の匂いを取ります。沸騰したら、大さじ1程度(15ml前後)の水を加えます。
step
6温度が下がり、沸騰がおさまりますので、すぐに、かつお節を一気に加え、弱火にします。
グラグラ煮立った状態に、少し水を加えて沸騰を抑える、このような水の加え方を「さし水」といいます。さし水をするのは、煮立った中にかつお節を加えると、香りが飛んだり、えぐみや渋味といった余計な味が出てしまうことがあるので、それを防ぐためです。
step
7沸騰後、弱火のまま3~4分ほどじっくりと煮ます。
かつお節の旨味をさらに引き出します。
浮いてきたアクは取り除くとよいですが、アクにも味の成分が含まれていること、出来上がりはこすため、あまり神経質にならなくても構いません。
step
8少し温度が下がると、かつお節が沈みますので、ざるの上に、ネル布巾、もしくは、キッチンペーパー(できれば不織布のリード)か、ガーゼ布巾を乗せて、静かにこします。
かつお節は軽く絞って構いません。
step
9だしがらの昆布は、具材としていただきます。細切りにして、結んでおきます。
食べやすい大きさに切るだけでも構いません。
牛すじ肉の下ごしらえ
step
1牛すじ肉は大きめのひと口大に切っておきます。
2~3切れずつ程度を竹串で刺しておくと食べやすいです。
step
2牛すじ肉より3cmほどの高さまで被る位の水を注ぎ、煮込みます。
【鍋で煮込む場合】ふたをして強火にかけ、沸騰したら弱火にして、ふたを少しずらし、1時間ほど煮込みます。途中、煮汁が少なくなっていたら、牛すじ肉が被る程度に水を足しましょう。
【圧力鍋で煮込む場合】高圧にセットして加熱します。圧力がかかったら15分加圧し、火を止め、自然放置で冷ましておきます。煮汁から出すと硬くなりがちですので、煮込むまで煮汁につけておきましょう。
大根の下ごしらえ
step
1大根は3cm程度(指2本分の幅目安)の厚さに切ってから、厚めに皮をむきます。
大根を柔らかく炊く場合、せっかく柔らかく仕上げても、大根の皮のすぐそばにある筋が舌触りを悪くするので、皮は厚めにむいておきましょう。
step
2大根の皮は、刻んでみそ汁の実にしたり、漬物、きんぴら、根菜汁、炒り高野などにするとおいしくいただけます。
また、切干大根にしてもおいしくいただけます。私は、大根の皮を細切りにし、キッチンペーパーをひいたバットなどの平らな容器か盆ざるに並べて、3日ほど天日干しにし、切干大根にしています。
step
3皮をむいた大根は、深さ1cmほど十文字に切り込みを入れておきます。
このようにすることで、味の染み込みが良くなります。この手順を「隠し包丁」といいます。
step
4大根の下ゆでをします。鍋に大根を並べ、大根がかぶる程度の水を入れます。
この時、米のとぎ汁、もしくは、水+小さじ1のぬか、水+大さじ1の生米を加えてゆでると、大根のアクがよく取れ、臭みが抜けます。
step
5沸騰したら、大根がコトコト揺れる程度に火を弱め、そのまま竹串がスッと通るまでゆでます。
step
6ゆで上がった大根は、鍋ごと流しへ持っていき、流水をかけて水の色が透明になるまで水を入れ替え、透明になった水にさらして冷ましておきます。
冷めたら、手でやさしく水から引き上げておきます。下ゆでした大根はとても柔らかいですので、ざるで受けてザバーとゆで汁を切ると、大根が崩れてしまうことがあります。手でやさしく水から引き上げることで、大根がくずれず、また、水に浸して冷ますことで、より大根のアクと臭みを抜くことができます。
卵のゆで方
step
1卵をゆでます。まず、卵のとがっていないほうに画鋲やキリで浅く穴をあけます。
ゆでている間の圧力を逃すために、穴をあけます。こうすることで、ゆでている間に内側の圧力が膨張し、卵が割れてしまうことを防ぎます。
卵のとがっていないほうは、卵を覆っている膜と、殻との間に隙間がありますので、ゆでている間に卵が飛び出ることが少ないです。
冷蔵庫から出してすぐの卵で構いません。
写真ではワインオープナーを使っています。スクリュー半巻き分差し込んだ程度の穴を開けています。卵に穴を開けるツールがあれば、ぜひそちらを使いましょう。
step
2鍋に卵を並べ、ひたひたに水を注ぎ、
ここでいう、ひたひたの水とは、卵が少しだけ水から出ている状態です。写真は直径22cmのフライパンに、水1リットルを入れています。卵8個でも同量の水で問題ありません。
まだ火はつけません。
step
3酢(分量外:水1リットルあたり大さじ1)を入れて、ふたをして中火で加熱します。沸騰したら火を止め、そのまま7分蒸らします。
酢には2つの役割があります。
1つは、たんぱく質を固まらせる働きがありますので、もし卵の殻が割れて白身が飛び出してきても、すぐに固め、それ以上卵が飛び出ないようにします。
もうひとつは、卵の殻を柔らかくする働きがありますので、卵の殻がむきやすくなります。
step
4氷水にとって急冷し、3分程度冷やします。
氷水につけ、手でさわれる程度に粗熱が取れたら、卵全体に軽くヒビを入れておいて冷やしておくと、さらに殻がむきやすくなります。
殻にヒビを入れる際は、平らなところで転がすようにすると、白身が傷つきにくいです。
step
5殻をむき、水にさらします。こうすることで、硫黄臭さが取れます。
じゃがいもの下ごしらえ
step
1じゃがいもは皮付きのままきれいに洗い、たっぷりの水をはった鍋で、竹串がスッと通るまで水からゆでます。
ゆで上がったら、乾いた布巾やキッチンペーパーで包みながら、できるだけ熱いうちに薄く皮をむいて冷ましておきます。
電子レンジで蒸す場合は、ぬらしたキッチンペーパーにくるんでから、ラップでふんわりと包んで加熱します。600Wで4~6個なら6~7分目安です。途中1度表裏を返すと良いです。必ず竹串を刺して確認し、硬いようなら30秒ずつ加熱しましょう。
step
2皮をむいたじゃがいもは、お茶パックに入れておくと、煮込んでも煮汁が汚れにくく、煮くずれも防止でき、1個ずつを簡単に取り出すことができます。
ただし、いただく際に、お茶パックから取り出す必要がありますので、アツアツの際にそのような作業をするのは、面倒というリスクがありますので、その点ご承知おきください。
こんにゃくの下ごしらえ
step
1こんにゃくは、包丁で表面を叩き、両面に2~3mmほどの深さで、縦横に細かく切り目を入れます。
step
21枚を半分に切り、さらに半分ずつ三角に切ります。こんにゃく1枚あたり塩小さじ1(分量外)でよくもみ、余分な水分や臭みを抜きます。
step
3鍋にお湯をわかし、こんにゃくを5分間(煮立ってから3分間)ほどゆでて、ざるに上げておきます。
練り物の下ごしらえ
step
1練り物は、お好みで食べやすい大きさに切りそろえ、熱湯に入れ、30秒ほど、再沸騰するまでゆでます。
step
2ざるに上げておきます。
煮込み
step
1煮込みます。だし汁に調味料の材料を加えて、中火にかけます。
step
2沸騰したら、下ごしらえをしておいた具材を加えます。ただし、厚揚げ以外の練り物はここでは加えません。ふたをして、沸騰したら弱火にします。
厚揚げ以外の練り物は、溶けてしまう場合もありますので、このタイミングでは加えず、仕上げに加えましょう。
煮込むというよりは、「ゆっくりと温める」イメージです。静かに温めましょう。
【鍋で煮込む場合】沸騰させない程度の弱火にかけ、30~40分ほど静かに温めます。
【圧力鍋で煮込む場合】低圧にセットし、圧がかかったらすぐに火を止めて、自然放置しましょう。分量は鍋の上から1/3までにしましょう。それ以上の量で煮込むと吹きこぼれて、事故の元になります。
step
3火を止め、粗熱が取れるまで、そのまま冷まします。
煮物は、冷める際に味が染み込みます。具材が柔らかくなったら一旦火を止めて冷ますことで、しっかりと味を含ませ、それからもう一度火を入れて、仕上げます。
粗熱が取れてから、すぐに食べない場合は、冷蔵庫か涼しい場所に置きましょう。
step
4いただく際に温め直します。練り物を加え、沸騰したら弱火にし、ゆっくりと15~20分程度火を通します。
練り物を加えてからは圧力をかけないようにしましょう。圧力で練り物がぺったんこになり、残念な仕上がりになってしまいます。
これで完成です。お好みで、練り辛子、生姜醤油、七味唐辛子、柚子胡椒などを添えるとよいです。
具材のバリエーション
おでんは、色々な具材が合います。
私が試して美味しくいただけた具材をメモしておきます。ご参考になれば幸いです。「ハァ?」というものもあるかもしれません。
野菜
- 大根
- かぶ
- ごぼう
- れんこん
- 春菊
- ほうれん草
- ブロッコリー
- アスパラガス
- 玉ねぎ
- じゃがいも
- 里芋
- 長芋
- たけのこ
- ふき
- パプリカ
- トマト
- レタス
- なす
- とうもろこし
- しいたけ
- エリンギ
- こんにゃく
- えのきだけ(油揚げで包んでも)
- もやし・豆もやし(油揚げで包んで)
- 水菜(油揚げで包んでも)
- にんじん(ちくわに詰めても)
- さやいんげん(ちくわに詰めても)
肉類
- 手羽先・手羽元
- 鶏むね肉
- 鶏もも肉
- 豚ブロック肉(豚バラ肉、肩ロース)
- 豚足
- つくね
- ベーコン(野菜や油揚げを巻いても)
- ロールキャベツ
- ウインナー
- ぎょうざ
- 厚切りハム
魚介類・魚加工品
- たこ
- いか
- まぐろ
- 白子
- ちくわ
- かまぼこ
- はんぺん
- つみれ
- ごぼう天など練り物
大豆・大豆加工品
- 水煮大豆(油揚げに包んで)
- 厚揚げ
- 巾着
- 高野豆腐
- 木綿豆腐
乾物
- 昆布
- するめ(油揚げに包んで)
- 切干大根(油揚げに包んで)
- 刻み昆布(油揚げに包んで)
- 高野豆腐
- 干し椎茸
卵
- ゆで卵
- うずら卵
- 厚焼き玉子
- 揚げ卵
炭水化物
- もち巾着
- ちくわぶ ※関西にはありません
- にゅうめん(締めとして)
- うどん(締めとして)
- そば(締めとして)
- 雑炊(締めとして)
作り置きのコツ・ポイント
- 煮込みの際、そして温め直しの際、グラグラと煮立てないようにしましょう。つゆが白濁して(にごって)しまいます。
- 牛すじ肉の煮汁はすごく美味なので、捨てずに取っておいてスープやシチューなどに使えます。冷凍して1ヶ月保存可能ですので、牛乳パックなどに入れて保存しておくと良いです。
- 圧力鍋で煮込む場合、最大量は鍋の上から1/3までにしましょう。それ以上の量で煮込むと吹きこぼれて、事故の元になります。
- 残っただし汁はとっておいて冷凍しておくと、次回も使えます。だし汁でのばして、うすくちしょうゆと塩で適宜味付けして、ご活用くださいませ。
- 室温が12度以上の場合は、冷蔵庫で保存し、いただく分だけ温めたほうが賢明です。煮詰まってきたら、少し(30cc前後)水を足しながら煮返すと良いです。
- 保存容器で保存する際は、粗熱を取ってから、充分に消毒した容器に入れて、冷蔵庫で保存しましょう。
アレンジのヒント
- 練り物や素材から出る甘味で充分ですので、砂糖やみりんなどの甘味を加えていません。もし、少し物足りなく感じる場合は、ひと晩寝かせてみましょう。すぐにいただく場合は、みりんを小さじ1足してみましょう。
- 牛すじ肉がなくても充分おいしいです(関東に引っ越してからは、安価での入手が困難です><)。手羽元、手羽先をサッと湯がいて臭みを取ったものを加えても、いいだしが出て、とてもおいしいです。
- たこを加える場合、たこの下ごしらえは、生の場合は塩もみをして、ゆでてから切り分けます。ゆでだこの場合は、切り分けてから、一度ゆでます。こうすることで、他の材料と一緒に煮込んでも、たこの色移りを防ぎます。
- あっさりした味付けですので、煮汁は、にゅうめん、うどん、そば、雑炊のだし汁としても使えます。濃さは、かつおまたは昆布のだし汁で調整しましょう。
- 煮汁は煮物のだし汁にも使えます。切干大根の煮物や、おからを炊くと、とてもおいしくいただけます。お好みでしょうゆ、砂糖で調整しましょう。
- 定番ですが、煮汁は炊き込みご飯のだしとして使えます。普通のご飯を炊くのと同じ要領で、煮汁で炊き上げます。煮汁は完全に冷めてから使いましょう。その際、余った具材を細かく切って加えたり、大さじ1の乾燥ひじきや、きのこをほぐして加えると良いですね。
- だしがらのかつお節の活用法は、こちらをご参照くださいませ。
おすすめ食材、ツール
うすくちしょうゆはヒガシマルさんを使っています。東京にはうすくちしょうゆがなかなか売っていないので、amazonが重宝しています。
私のお気に入り、赤穂の天塩です。以前、スーパーで特価していたのでたまたま購入し、おにぎりや焼き魚に使ってみると、後味で甘み・旨味があり、それ以来ファンになり、あらゆる料理に使っています。特に、味付けがシンプルな料理に使う際には、とても頼りになります。
料理酒はタカラ「料理のための清酒」を愛用、1.8リットルパックで購入しています。塩分が含まれていないこと、また、飲むお酒では抑えられている雑味の中に含まれている、調理には有効な旨味成分を引き出すよう、独自の酵母で造られた清酒ですので、味のバランスが崩れず、ふんわり、まろやかに仕上がります。
料理に使う酒は、ぜひ、アルコール入り、食塩無添加の酒を使いましょう。
酒は、材料の臭みを消したり、材料を柔らかくしたり、さっぱりとした甘味を付けたり、野菜の煮物にコクを付けたりと、その役割はとても大きいです。
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