今日は、きのこがたっぷり食べられる、梅おかか煮のレシピをご紹介します。
きのこの旨味をできるだけ引き出し、梅干しとかつお節をメインに、調味料はごく控えめに味付けしますので、辛すぎることなく、たっぷりと食べられます。温かくても冷やしてもおいしくいただけますので、そのままではもちろん、冷奴のトッピング、そうめんの具材などにもご活用できます。
なお、包丁まな板は使いません。
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レシピについて
複数の種類のきのこを使い、ゆっくりと加熱することで、旨味を引き出します。
きのこの旨味を引き出すポイントについてもご説明します。
材料
4人分 |
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3種類以上のきのこ(ぶなしめじ、しいたけ、エリンギ、まいたけ、えのきだけ、なめこ、マッシュルームなど) 合計600g |
酒 大さじ3 |
かつお節 小袋2パック(2.5g~3g×2袋) |
■合わせ調味料 |
梅肉 大さじ1(梅干し大2個分) |
しょうゆ 小さじ1 |
砂糖 小さじ1 |
8人分 |
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3種類以上のきのこ(ぶなしめじ、しいたけ、エリンギ、まいたけ、えのきだけ、なめこ、マッシュルームなど) 合計1.2kg |
酒 90cc(大さじ6) |
かつお節 10~12g(小袋4パック(2.5g~3g×4袋)) |
■合わせ調味料 |
梅肉 大さじ2(梅干し大4個分) |
しょうゆ 小さじ2 |
砂糖 小さじ2 |
作り方
1 | ![]() 包丁、まな板は使いません。手で裂く&キッチンバサミを使います。 きのこは水洗いせず、そのまま使いましょう。詳しくは後述します。 |
2 | ![]() より簡単なものから進めます。 ほぐしたまいたけは、どんどんフライパンに入れていきます。火はまだつけません。 |
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きのこの旨味について
きのこの旨味をできるだけ引き出すようなレシピです。上記手順でご説明出来ていない内容を補足いたします。
なぜ、きのこは3種類以上を使うの?
旨味は、旨味の素になる物質があり、その要となるのが、グルタミン酸というアミノ酸の一種、そして、核酸成分の一種であるイノシン酸とグアニル酸があります。
グルタミン酸は植物性の食材、イノシン酸は動物性の食材、グアニル酸はきのこ類、特に干し椎茸に多く含まれています。
きのこ類の旨味は、このグアニル酸やグルタミン酸が主成分になっており、きのこの種類によって、含まれる旨味が違います。
旨味は単独で使うよりも、色々な旨味成分を足すことで相乗効果を発揮すること、また、きのこ類の味は淡泊ですので、きのこの歯ごたえや肉厚の違いを組み合わせることで、よりおいしさを感じることが出来るように、3種類以上を使っています。
なぜ、かつお節を使うの?
先述の「旨味は単独で使うよりも、色々な旨味成分を足すことで相乗効果を発揮する」について、もう少し詳しくご説明します。
旨味は、アミノ酸のグルタミン酸に、核酸系のイノシン酸やグアニル酸を加えることで、はるかに旨味が増すのです。
きのこ類の旨味は、グアニル酸やグルタミン酸が主成分ですので、これにイノシン酸───つまり動物性の食材の旨味であるかつお節───を足すことで、最大限の旨味を味わうことが出来るようにしています。
旨味を加えることで、料理の仕上がりにコクがついたり、食材そのものの風味を増したりといった働きがありますので、淡泊なきのこ類も、濃厚に、そしてまろやかに仕上がります。
また、旨味を加えることで、調味料の分量を減らしても美味しく仕上がることにつながりますので、減塩、そしてやさしい味を実現することが出来ます。
かつお節が無い場合、代用として、乾燥ちりめんじゃこ、和風だしの素(かつおだし、煮干しだし)でも美味しく仕上がります。
なぜ、きのこは水で洗わないの?
きのこ類は水分を含みやすいので、水洗いをすると水気を吸ってしまい、風味が落ちてしまうためです。
流通しているきのこ類は、基本的に無農薬栽培であること、汚れを気にする必要はない状態で栽培・出荷されていますので、石突きの部分を切り落とすだけで使えます。
ただ、どうしても汚れが気になる、山で採ってきた、という場合は、次のように対応すると良いです。
・かさをポンポンと軽くたたいて、内側のひだのゴミなどを落とす
・固く絞ったふきんで表面を拭く
なぜ、きのこを手で裂くの?
上記の手順では、石づきを取る際や、大きさをそろえる際にキッチンバサミを使用していますが、できるだけ、きのこを手で裂くようにしています。
これは、手で裂くことにより、裂いた断面がいびつになって、表面積が増えることにより、味が染み込みやすくなるためです。
しいたけやマッシュルームも、手で裂くほうが味は染み込みやすいですので、形や大きさの不ぞろいを気にしないのであれば、ぜひ、手で裂いてみましょう。
なぜ、きのこにゆっくりと火を通すの?
きのこの旨味が生まれる仕組みを簡単にご説明します。
きのこは、加熱することできのこの細胞が死んでしまうと、きのこの細胞に含まれている核酸成分が、同じくきのこの細胞に含まれている酵素によって分解されて旨味成分に変わり、ここで旨味成分が生まれます。
ところが、きのこには、きのこの旨味を作る酵素だけではなく、旨味を壊してしまう酵素があります。
旨味を作る酵素は、加熱によって働き出すのですが、80℃を超えるあたりになると働かなくなります。
それに対し、旨味を壊す酵素は、温度が60℃を超えると働かなくなります。
ということは、加熱していくと、旨味を壊す酵素が先に働かなくなるので、70℃くらいになると、旨味を作る酵素はまだ働いているので、その温度で旨味が増える、というわけです。
ですので、このレシピでは、きのこを、ゆっくりと弱火で温め、ゆっくりと加熱することで、旨味を出来るだけ増やそうとしているわけです。
今回ご紹介したレシピに限らず、きのこの旨味を楽しむメニューを作る際には、もしこれまで、いきなり熱湯やよく熱したフライパンや油にきのこを入れたり、ワット数の高い電子レンジで一気に加熱調理していた場合は、ぜひ、今回ご紹介した「弱火ゆっくり加熱」を、お試しくださいませ。きのこの旨味が、とても引き出されますよ。
きのこは冷凍して使うと、さらに旨味が出ます
泳いでいるイワシやカツオ、海の中に生えている昆布から出汁が出て海の水がおいしくなる……ということはありませんよね。
先述の、「旨味を作る酵素」など、細胞に含まれているさまざまな酵素は、細胞が生きている、つまり生物や植物として生きている間は活動せず、細胞が死んだ時点で酵素が活動を始めます。
干し椎茸、昆布、かつお節は、干して乾燥させ、細胞を死なせることによって、酵素が活動できるようにしているわけです。
生のきのこは、まだ生きていますので、加熱することで細胞が少しずつ死ぬ=少しずつ酵素が活動を始めて旨味を増やしていきます。その分の旨味しか増えません。
でも、きのこを冷凍することで細胞を死なせておくことで、冷凍したきのこを煮ると、すぐにきのこ全体の旨味を作る酵素が働き始めますので、生のきのこを調理するより、旨味成分が多くなる、というわけです。
きのこ類は、安売りの際に多めに購入して、石づきを取り、ほぐした状態で冷凍しておき、そして解凍せず使い、水や冷たいフライパンの段階からゆっくりと加熱していくことで、旨味成分がとても多くなります。
ただ、旨味は出るのですが、酵素は、旨味成分に関わるものだけではありませんので、独特の苦味が出たりすることもあります。
また、細胞にダメージを与えるわけですから、せっかくの歯ごたえがなくなってしまう……、ということもあります。
私が試した中では、次のような結果になっています。ご参考になれば幸いです。
きのこの種類 | 旨味 | 歯ごたえ |
---|---|---|
えのきだけ | ○旨味と香りが増える | ×しなっしな |
ぶなしめじ | ○旨味と香りが増える | ×硬さがなくなる |
まいたけ | △旨味と香りが増えるが、苦味が出る | ○変化が気にならない |
しいたけ | ○旨味と香りが増える | ○変化が気にならない |
エリンギ | ○旨味と香りが増える | ×歯ごたえがなくなる |
なめこ | ○旨味と香りが増える | ○変化が気にならない |
マッシュルーム | ○旨味と香りが増える | ○変化が気にならない |

- きのこの旨味を引き出し、味をよくなじませるため、きのこは水で洗わず、できるだけ手で裂き、ゆっくりと加熱しましょう。
- よく消毒した保存容器に移し替え、冷蔵庫で保存しましょう。

- 冷奴のトッピングとして、たっぷりとかけてどうぞ。
- さっとゆでて輪切りにしたオクラと和えてもおいしいです。
- そうめんの具材にもどうぞ。

愛用品のキッチンバサミです。皮やスジ付き、調理済みの肉、骨付きの魚、ヌルヌルのイカも、皮ごと滑ることなくスパッと切れます。カーブがあるので、まな板、バットやお皿に乗っているままの食材も切りやすく、また、野菜などはこれでスパスパ切っています。錆びないのも嬉しいですね。
使い方のコツは、大きく刃を開いて一気に切ることです。面白いように切れます。紙を切ったり、刃先だけで切るのは不得意ですので、完全に調理用専用バサミとして使用しています。
こちらは、愛用品のゴムべらです。スケッパーの刃先のような薄さ、弾力性としなやかさがあり、また、耐熱温度が200℃なので、木ベラ代わりに炒め・かき混ぜに使え、また、こびりつきがちな調味料も、熱いうちに根こそぎ残らずいただくことができる、素晴らしい逸品です。
お菓子作りの際にも大活躍します。ケーキの種や溶かしたチョコレートなどは、本当に一切ボウルに残りません。
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