今回は、食中毒を防止するために、基本的な知識と、そして具体的な実践方法を、厚生労働省:家庭でできる食中毒予防の6つのポイント、食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント:政府広報オンライン、そして私の経験を元にご紹介します。
食中毒は、梅雨の時期や真夏だけではなく、一年中、食中毒の可能性はあります。特に、ノロウイルスは、冬に多発しています。(参照リンク先:ノロウイルスに関するQ&A |厚生労働省)
また、外食だけではなく、もろちんご家庭での、普段の調理や食事でも発生する可能性はあります。そして、報道されているように、死に至る場合もあります。
そんなことを言われると、調理も、外食も、お弁当作りも、そして作り置きも、とても怖くなってしまいます。
でも、正しい知識───なぜそんなことになるのかという理由、そして、具体的にどのようにすれば防げるのか───ということを、しっかりと知ること、そして実際にやってみることによって、食中毒は、確実に防ぐことが出来ます。
一つひとつ、ご説明しますので、ぜひ、ご参考にしていただければ幸いです。
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主な食中毒の種類と、その対処法について
食中毒は、さまざまな種類があります。
今回ご紹介するのは、その主なものではありますが、「こんなにあったら、調理とか怖いし、ましてや作り置きなんて不可能!」と思われるかもしれません。
でも、どれも、いつもの調理や準備に、少し気を付けたり、少し工夫するだけで、しっかり対処することが出来ますよ。
まずは、きちんと、知ることが大切です。では、一つひとつ、確認していきましょう。
腸管出血性大腸菌(O-157など)
牛や豚などの腸の中にいる病原大腸菌の一つです。「ベロ毒素」という、名前だけでひいてしまうような、非常に毒性の強い毒素を出します。
牛や豚などの腸の中にいますから、肉を解体する際に、可食部に付着します。そのため、一般的に出回っている食肉には、必ず付着している、と思って間違い無いのではないでしょうか。ですので、肉を生でいただいたり、不十分な加熱の肉をいただいたりすると、食中毒を発症します。
肉や卵の購入は、できるだけお買い回りの一番最後にし、パックをビニール袋で覆い、野菜など生でいただく食材に付かないようにし、持ち帰ります。また、帰宅後は必ず、すぐに冷蔵庫で保存します。
75℃以上、1分以上の加熱にて死滅しますので、必ずよく加熱していただきましょう。
このとき、「あ、なんや、75℃ならちょっと温めるだけでええやん」ではないことをご留意くださいませ。食材の中心点が75℃以上、1分以上の加熱が必要ですので、しっかりと沸騰もしくは焼く・揚げる・蒸して、加熱することが必要です。
肉を切った後に、野菜や豆腐など、生でいただくものを切る際は、包丁やまな板は、しっかりと洗った後、さらに消毒してから切りましょう。
経済的・収納に余裕があれば、肉・魚類と野菜類で、包丁やまな板を分けるのも効果的かと思います。でも、消毒しましょう。
ウエルシュ菌
人や動物の腸内や土、下水に広くいます。100℃、1~6時間の加熱に耐えますが、酸素のないところで増殖する、つまり、酸素に弱いという特徴を持ちます。
カレーやシチュー、筑前煮など、肉・野菜などの煮込み料理で食中毒を発症することが多いです。これらを作ったら、できるだけ急速に冷まして冷蔵庫で保存しましょう。一回り大きい鍋やボウル、シンクに水をはったところに、調理した鍋ごと入れて、氷+流水で、かき混ぜながら冷まします。もちろん、はった水に、氷をたくさん入れてもいいですよ。4~8人分程度でしたら、10~15分くらいで粗熱が取れます。
いきなり冷蔵庫に入れる、という荒業は、やめましょう。冷蔵庫の温度が上がり、保存していた他の食材の温度も上がりますので、それこそ食中毒の元です。
また、この菌は酸素に弱いですので、調理時はもちろん、特に再加熱の際は、鍋底、鍋肌から全体をかき混ぜて、できるだけ料理全体が空気に触れるようにしながら、全体を沸騰させましょう。
サルモネラ菌
牛や豚、鶏、猫や犬などの腸の中にいる細菌ですので、食肉はもちろん、卵などが主な原因となります。また、ペットなどによって、食べ物に菌が付着する場合もあります。
肉や卵の購入は、できるだけお買い回りの一番最後にし、他の食品に触れないよう、ビニール袋で覆います。また、購入後は必ず、すぐに冷蔵庫で保存します。
こちらも、75℃以上、1分以上の加熱にて死滅しますので、必ずよく加熱していただきましょう。
腸管出血性大腸菌(O-157など)の項でも記述しましたが、このとき、「あ、なんや、75℃ならちょっと温めるだけでええやん」ではないことをご留意くださいませ。食材の中心点が75℃以上、1分以上の加熱が必要ですので、しっかりと沸騰もしくは焼く・揚げる・蒸して、加熱することが必要です。
ペットからの感染もありますので、もしペットを触ってから調理する際は、必ず、よく手を洗ってから調理しましょう。もちろん、食事をいただく際も同様です。
カンピロバクター
いわゆる家畜食肉の腸の中にいる細菌ですが、特に、鶏肉によくいます。
乾燥に弱く、加熱処理で死滅します。
鶏肉も、もちろんできるだけお買い回りの一番最後にし、他の食品に触れないよう、ビニール袋で覆います。また、購入後は必ず、すぐに冷蔵庫で保存します。
そして、よく加熱していただきましょう。
「あっさり美味しい蒸し鶏とか鶏ハムとかはあかんの?」OKですが、調理の際は、よく加熱しましょう。
カンピロバクターは、中心部が65℃以上+数分以上で菌は死滅しますが、鶏肉には、先述のサルモネラ菌も潜んでいる可能性がありますので、結果として、食材の中心点が75℃以上、数分以上の加熱を心がけましょう。
腸炎ビブリオ
海(河口部、沿岸部など)に広くいますので、魚介類の表面やエラなどにいます。
3%前後の食塩、ならびに、室温で増殖します。
また、真水や酸に弱いという特徴を持ちますので、魚介類は、どれだけ新鮮なものでも、購入後はすぐに冷蔵庫に入れること、調理の際は、必ず真水でよく洗いましょう。
ノロウイルス
現在知られているノロウイルスの唯一の保有体はヒトのみである(2010年4月 食品安全委員会 食品健康影響評価のためのリスクプロファイル及び今後の課題より抜粋)とのこと、また、他の原因として特定されているものは、貝類(二枚貝)、刺身、すしなどの魚介類を含む食品、サラダなどの生野菜、餅、菓子、サンドイッチ、パンなどの炭水化物があります。
つまり、人から人へ、吐いたものや唾液などから感染します。
「いや、他人の吐いたものとか触らないし」と思うかもしれませんが、酔っ払いの吐いた物、しかもだいたい内容はシメの炭水化物、これが時間が経って空気中に散漫すると……。
あとは、特に、二枚貝の生牡蠣が代表選手です。
ノロウイルスは、私の太鼓判のアルコール消毒、そして逆性石鹸(殺菌消毒液で有名なオスバン液など)すら効果がありません。
食事や調理の前にはしっかり手洗いすること、二枚貝は中心部まで85℃~90℃、90秒以上加熱すること、生野菜はよく洗って水気を充分に切ってから調理すること、調理器具は充分に洗った後、次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイター)で消毒すると良いです。
あと、賢明な皆さんは大丈夫かと思いますが、酔っ払って、そのへんで吐くのはやめましょう。テロ行為です。
黄色ブドウ球菌
人や動物が常に持っているものです。
菌は一般的に、高温多湿の環境で繁殖し、高熱での加熱や乾燥に弱いとされますが、これは、エンテロトキシンという、熱に強く、100℃、30分の加熱でも無毒化されない毒素を生成します。
食事や調理の前にはしっかり手洗いすること、特に、傷のある手指で調理するのは避けましょう。
手が荒れている場合は、使い捨て手袋などを利用し、食材に手が直接触れないようにしましょう。
調理器具は充分に洗った後、アルコールや次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイター)で消毒すると良いです。
また、防虫、低温保存も効果的です。
セレウス菌
自然界に広くおり、症状は、嘔吐型と下痢型があります。原因として特定されている食品は、次のようなものがあります。
- 嘔吐型:ご飯、おにぎり、ピラフ、スパゲッティなど
- 下痢型:食肉、野菜、スープなど
スポーツの部活や行楽に、朝からお弁当やおにぎりをたくさん作って、お昼に食べたら、みんな後で大変なことに!!は、だいたいこれ、もしくは先述の黄色ブドウ球菌です。
また、この菌は熱にとても強く、消毒薬も効きません。
ご飯類や麺類を作り置きする場合は、室温に放置せず、調理後は8℃以下、または55℃以上で保存し、保存期間は出来るだけ短くしましょう。
特に、行楽弁当やおにぎりを作る際は、直接手で握らず、ラップや、使い捨て手袋などを利用し、食材に手が直接触れないようにしましょう。
保存、携帯は冷暗所(クーラーボックス等)を利用しましょう。
ボツリヌス菌
土や川、動物の腸管など、自然界に広くおり、毒性の強い神経毒を作ります。酸素のないところで増殖する、つまり、酸素に弱いという特徴を持ちます。
毒素の無害化には、80℃で30分間の加熱を要しますが、発生は少ないです。しかし、いったん発生すると重篤になります。
また、この菌は酸素に弱いですので、調理時はもちろん、特に再加熱の際は、100℃でしっかり数分以上、鍋底、鍋肌から全体をかき混ぜて、できるだけ料理全体が空気に触れるようにしながら、全体を沸騰させましょう。
エルシニア
特に豚、ネズミなどの腸にいます。糞尿を介して食肉や飲料水を汚染したりします。
豚などの腸の中にいますから、肉を解体する際に、可食部に付着します。そのため、腸管出血性大腸菌(O-157など)の項でも記載しましたように、一般的に出回っている豚肉には、必ず付着している、と思って間違い無いのではないでしょうか。ですので、豚肉を生でいただいたり、不十分な加熱の豚肉をいただいたりすると、食中毒を発症します。
4℃以下の低温でも増殖する菌ですが、熱に弱いですので、食材の中心点が75℃以上、数分以上の加熱で死滅します。
特に豚肉を使った料理は、よく火を通し、冷蔵庫での保存も、出来るだけ短いうちにいただき、長期保存の場合は冷凍するようにしましょう。
食中毒予防のポイント
ここまでで、それぞれの食中毒菌の原因と対処法を述べました。
では、実際の食生活に取り入れるには、具体的にどのようにすれば効果的なのか、厚生労働省:家庭でできる食中毒予防の6つのポイントを参考に、そして私の経験をもとに、ひとつひとつ、ご説明します。
食中毒予防の三原則:食中毒菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」
食中毒は、その原因となる細菌やウイルスが食べ物に付き、体の中へ侵入することによって発生します。
ですので、食中毒を防ぐためには、食中毒菌などを食べ物に「つけない」、食べ物についた食中毒菌を「増やさない」、食べ物や調理器具についた食中毒菌を「やっつける」という3つが原則です。
ちなみに、厚生労働省のページでは、「付けない、増やさない、殺す」と、もう語感も全力で容赦ない感じです。
ポイント1 お買い物
お買い物の時から、食中毒は予防することが出来ます。
言い方を変えますと、お買い物の時から、食中毒菌を繁殖している可能性があります。
いつものお買い物を思い返し、「あっ!もしかして、やばい?」と思ったら、次回からぜひ、変えてみましょう。
購入時
- 消費期限を確認して、新鮮な食材を購入しましょう。20%引きや半額品は、家計には嬉しいですが、特に、疲れている時や風邪など抵抗力が弱っている時や、乳幼児、お年を召した方のお料理を作る場合は、避けたほうが安全です。
- 写真のような、要冷蔵・要冷凍のもの────肉や魚などの生鮮食品、豆腐などの日配食品、乳製品、そして冷凍食品───は、出来るだけお買い物の最後に購入するようにしましょう。
- 肉や魚などは、水分が他の食品に触れないよう、それぞれ分けてビニール袋に入れて持ち帰りましょう。トレイをその場で捨てて入れ替えるといった行為も、不衛生ですので止めましょう。
買い回り時
- 食材を購入した後は、寄り道せずに、すぐに帰宅し、冷蔵庫・冷凍庫に食材を保存しましょう。複数個所で買い出しをする場合は、面倒ですが、ルート毎に2~3回に分けて買い出しを行い、都度、食材を保存するほうが安全です。
- 夏場に買い回る際は、保冷バッグを用意し、その中に肉や魚を入れるようにしましょう。炎天下での自転車のカゴや車のシートは、50℃以上の高熱です。保冷バッグに入れることより、持ち帰ったら腐りかけていた、といった思わぬ悲劇を避けることが出来ます。
ポイント2 食材の保存
せっかく購入した、新鮮な食材です。
帰宅したら、なるべく早く、そして、正しく保存しましょう。
冷蔵・冷凍保存
- 冷蔵や冷凍が必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に保存しましょう。ふう、と座って落ち着いて飲み物などを飲むのは、くれぐれも、その後にしましょう。
- 肉や魚はビニール袋のまま保存し、他の食品に水分が触れないようにしましょう。必要あれば容器に入れ替えたり、ビニール袋を二重にしましょう。
- 肉、魚、卵などを取り扱う際は、取り扱う前、そして取り扱った後に、必ず手をよく洗いましょう。決して、肉や魚の汁が付いた手で、絶対に他の食材を触らないようにしましょう。また、卵をケースから出し入れする際も同様です。
- 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することが目安です。頻繁に開け閉めしたり、節電になるかもと設定温度を上げ過ぎたりといったことはやめましょう。温度計を使って温度を計ると、より庫内温度の管理が正確になります。
私の使っている冷蔵庫は、写真のように、適温だとエコモードランプが光り、消える=温度が高くなっている=開け閉めし過ぎた!ということですので、目安としています。 - 細菌の多くは、10℃以下では増殖がゆっくりとなり、-15℃以下で増殖が停止します。でも細菌が死滅するわけではありませんので、出来るだけ早めに使いきるようにしましょう。
- 冷蔵庫や冷凍庫の詰め過ぎに注意しましょう。私は、冷蔵庫は余裕を持って6~7割以上にならないようにし、冷凍庫は、保冷剤代わりに、乾物や調味料などをたくさん保存しています。
常温での保存
- 食品を流し台の下に保存する場合は、水もれ、油もれ、湿気などに注意しましょう。お鍋やボウルなどを濡れたまま収納したり、そこに油が垂れた瓶やしょうゆ、根菜などを湿ったまま一緒に保存していませんか?カビだけではなく、ゴキブリの温床にもなります。
- 食材は、直接床に置いたりしないようにしましょう。それはない、と思われるかもしれませんが、私はつい、白ねぎは袋からはみ出して、直接床に触れがちです……。
ポイント3 下準備
ここ以降は、しつこいほど、「手洗い」と「消毒」が出てきます。
とても大切なことですので、省かずに、都度、記載しています。
しっかりと習慣にすることが大切です。
キッチンと調理器具 ~調理前~
- キッチンは清潔にしましょう。いつも使っているキッチン、一度、よく見渡してみましょう。「見た目がキレイ・おしゃれ」と、「清潔」は、全くの別物ということにご留意くださいませ。
私は、調理前には、必ずアルコールでキッチンや、調理器具、まな板を消毒しています。 - 調理中よく使う、ふきんやタオルは、清潔なものを何枚か用意しておき、キッチンペーパーもすぐ手の届くところにたくさん補充しておきましょう。
- 排水溝のネットや三角コーナーのゴミなどは、きれいに処分しておきましょう。排水溝は流れやすい状態になっていますか?食材の下ごしらえや水切りをした際、詰まって逆流したり、三角コーナーから汚れが流れ出したりといったことを防ぎましょう。
「排水溝のネットは、しょっちゅう変えているのに、なんか流れが悪い……」という場合は、パイプが詰まり気味です。
そんな時、私は「ピーピースルー」を使っています。
この、みもふたもないネーミングのお品は、排水溝のゴミ受けの下から、これを説明書き通りに振りかけて、水を少し入れて、一晩放置すると、完璧!!に流れます。
もうパイプマンが効かなかったり、もう排水溝専用ブラシを買おう、いや、業者さんのほうがいいかな……、という場合、ぜひ一度、お試しくださいませ。
ただし、あまりに強力なせいか、使うと「ヤバい臭い」がしますので、小さなお子さんや、ペットのいるご家庭は、寝静まってからのご使用(仕掛け)→早朝に流すことをおすすめします。それくらい強力です。
もちろん、洗面所の排水にもOKです。そんな、「業者泣かせ」の逸品です。
手洗い
- 調理前に、手はしっかりと洗いましょう。手首や、親指の付け根、爪の間などは、洗い残しが多く、かつ多く食品に触れますので、しっかりと洗っておきましょう。
- 手を洗うのは、調理前だけではありません。肉・魚・卵を触った、おむつを替えた、トイレに行った、鼻をかんだ、ペットを触った、パソコンを触った、急な雨で洗濯物を取り込んだ、その後は必ず、もう一度よく手を洗ってから、調理に戻りましょう。
食材の扱い
- 肉や魚などの汁が、サラダなど、生で食べる物や、調理済みの食品にかからないようにしましょう。保存の面からも、足の早い=雑菌が増えやすい魚やモツなどは、一番最初に調理すると良いですね。
- 野菜や果物などの生でいただく食品や、焼き上がった肉など調理済みの食品を、生の肉や魚を切った後に、そのまま洗わずにその包丁やまな板で切ることは、絶対にやめましょう。洗ってから熱湯をかける、もしくは、洗って拭いてから、アルコール消毒をして使いましょう。
- もし経済的・収納に余裕があれば、包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と、それぞれを別々にそろえて、使い分けるとさらに安全です。あまり余裕のない私は、1組しかありませんので、アルコール消毒もしくは熱湯消毒です。作り置きの手順で、肉や魚を使った料理を、手順の最初もしくは最後に対応しているのは、このためです。
- カット野菜や、デパ地下などで個別にラップがされている野菜なども、よく洗いましょう。もやしも、きちんと洗いましょう。大きめのボウルや鍋に、全体を漬け込んで洗うと良いですよ。
- 冷凍食材は、冷蔵庫や電子レンジの解凍モードを使って解凍しましょう。自然解凍は食中毒菌が増えやすいので、できるだけ避けましょう。水を使う際は、ラップのまま、流水で行うと良いです。
- 使う分だけを解凍し、解凍した食材は、すぐに調理しましょう。「やっぱり使わない」からと、再冷凍することは絶対にやめましょう。冷凍と解凍を繰り返すことで、食中毒菌が増えます。また何より、水分が抜けてパサつき、おいしくありません。
キッチンと調理器具 ~調理中や調理後~
- 特に、生肉や魚を切った包丁やまな板などの調理器具は、きれいに洗った後、熱湯をかけるか、アルコールで殺菌しましょう。私は、調理中なら、洗った後に拭いてからさらにアルコールで拭き上げるか、熱湯をかけて消毒しています。そして全ての調理が終わったら、キッチンハイターで消毒しています。
- ふきんは使う度によく洗いましょう。ふきんは汚れたら、タオルは湿ったら取り替えましょう。
雑菌が一番繁殖するのは、「濡れている時」です。私は、ふきんは20枚ほど常備しています。
「一人暮らしで週末しか料理しないのに、なんで?」それは、「使う際はアルコールスプレーと兼用し」、「濡れたふきんをキッチンに置かず」、「使い捨てのようにガンガン取り替えて洗う」という使い方をしているためです。 - スポンジや、たわしなども、使ったら水気をよく切っておきましょう。例えば、スポンジに水分と洗剤を含ませたまま一晩放置するというのは、食中毒菌の温床です。「もう今日はおしまい!」という際は、よーく洗剤と水気を切っておきましょう。スポンジやたわしは、キッチンハイターを充分に薄めた液に1~2分ほど浸け置きするだけで、簡単に殺菌できますよ。
最近はこのキッチン泡ハイターの1000ml業務用を愛用しています。泡になっている便利さは本当に重宝します。
ポイント4 調理
調理の際は、清潔な状態で食材を扱い、加熱して調理する際は、全体、中心までを充分に加熱しましょう。
- 調理を始める前に、もう一度、キッチンを見渡してみましょう。特に、先述の「ポイント3 下準備>キッチンと調理器具 ~調理前~」で、色々と清潔にした場合、ふきんやタオルが水分でボトボトになっていませんでしょうか?排水溝や三角コーナーのゴミ受けは、再び詰まっていませんか?ふきんやタオルは乾いた清潔なものに取替え、ゴミ受けは何もない状態にしましょう。
- 都度、手をきれいに洗いましょう。
- 加熱して調理する際は、充分に加熱しましょう。鍋底、鍋肌から全体をかき混ぜて、できるだけ料理全体が空気に触れるようにしながら、全体を沸騰させましょう。食中毒菌がいたとしても、食材の中心点が75℃以上、1分以上で加熱させること、そしてまんべんなく酸素に触れさせることで、殺菌することが出来ますよ。
- 調理中の食材を、そのまま室温に放置すると、細菌が食品に付いたり、増えたりします。もし、前日に下ごしらえをして翌日に作る、調理中の急な来客や体調不良、食材が足りないので買い出しをする……、といった、調理を途中で中断する際は、食材は必ず冷蔵庫で保存しましょう。
調理を再開する際は、手をよく洗い、そして食材は充分に加熱しましょう。
- 食材の水気はしっかり切ってから調理するようにしましょう。余分な水分は、食中毒菌が増える元となります。また、仕上がりの味がぼけて、残念な感じの仕上がりになります。
- 特に作り置きには、スパイス、オイル、酢を利かせた調理方法が向いています。唐辛子、こしょう、にんにく、しょうが、スパイス類は、殺菌効果が高く、作り置きの強い味方です。また、塩分を控えた味付けでも味がしっかりと決まります。
ポイント5 食事をいただく際
「いただきます」の前の「盛り付け」、お弁当を詰める際、食卓への出し方などでの注意点です。お料理を安全に美味しくいただくコツにも繋がりますよ。
- 手をきれいに洗いましょう。いただく時はもちんですが、盛り付ける前、肉や魚の汁や、調理した油が手に付いたまま、生でいただく食品を扱ったりしていませんか?
- 調理器具、そして食器は清潔にしましょう。盛り付ける際は、清潔な手で、清潔な調理器具を使って、そして清潔な食器に盛りつけましょう。
私は、お弁当を詰める際は、弁当箱をアルコールで拭いてから詰めています。「保温ランチジャーなのに?」と思われるかもしれませんが、だからこそ、食中毒菌がぐんぐん育つことが容易に想像出来るためです。
- 手に傷がある、手が荒れている場合は、ビニール手袋を使って盛り付けましょう。野菜や果物、刺身など、生でいただく食品を細かく盛り付けるような料理の場合は、特に注意しましょう。
- お料理を出す前、食卓は清潔なふきんで拭きましょう。私はアルコールで拭いています。
- 温かい料理は常に温かいまま、冷やして食べる料理は常に冷たくして、食卓に出すようにしましょう。
レストランなどの料理店では、熱い鉄板のままや、コンロや七輪で温かいものを保温しながらいただいたり、氷をたくさん敷いた上にお刺身が盛られています。いずれも、痛みにくい、という利点もあります。
見た目にも美味しいこのサービスを、家庭でも同様にやるのはさすがに大変ですが、温かい料理は65℃以上、冷たい料理は10℃以下を目安として、よく温めて、そしてよく冷やして、提供するように心がけましょう。 - 調理前の食材や、調理後の料理を、室温に長く放置しないようにしましょう。食中毒菌が増えます。例えば、O-157は室温でも15分程度で2倍に増えます。
ポイント6 残った食品や、作り置きの保存
ごちそうさまの後、食材が残ることもあります。
カレーや煮物が入った鍋に、器の残りを入れて、そのまま翌日まで放置していませんか?絶対に、やめましょう。
作り置きのコツ・ポイントは、こちらも併せてご参照くださいませ。
- 食べ終わったら、食卓は清潔なふきんで拭きましょう。私はアルコールで拭いています。
- 残った食品を扱う際には、まず、手をきれいに洗います。もちろん、作り置きの食品を扱う際も同様です。
- カレーやシチュー、筑前煮など、肉・野菜などの煮込み料理で食中毒を発症することも多いです。これらを作った際、また、余った際は、再度全体を充分に加熱してから、できるだけ急速に冷まして、まんべんなく酸素に触れさせてから、冷蔵庫で保存しましょう。一回り大きい鍋やボウル、シンクに水をはったところに、調理した鍋ごと入れて、流水で、かき混ぜながら冷まします。もちろん、はった水に、氷をたくさん入れてもいいですよ。4~8人分程度でしたら、10~15分くらいで粗熱が取れます。
- 保存の際は、アルコールで容器とふたを消毒してから、食品を保存しましょう。
- 残った食品を温め直す際は、よく加熱しましょう。鍋底、鍋肌から全体をかき混ぜて、できるだけ料理全体が空気に触れるようにしながら、全体を沸騰させましょう。食中毒菌がいたとしても、食材の中心点が75℃以上、1分以上で加熱させること、そしてまんべんなく酸素に触れさせることで、殺菌することが出来ますよ。
- 時間が経ち過ぎたり、少しでも怪しいと思ったら、口に入れず、思い切って捨てましょう。
このサイトをご覧いただいている方には、すっかりおなじみの、私の愛用アルコールスプレーをご紹介します。
100%食品に使える原料から作られているアルコール消毒スプレーですので、キッチンまわりはもちろん、食卓テーブルなどにも安心してガンガン使えます。
また、パソコンのキーボードなどを拭いたりするときにも重宝しています。
食中毒かな?と思ったら
下痢や嘔吐といった症状は、原因となる物質を外に逃がそうとする、身体そのものの防御反応です。気持ち悪くなったり、お腹が痛くなったりしたら、むやみに市販の下痢止めなどの薬を服用する・させるのではなく、早めにお医者さんの診断を受けましょう。
最後に
食中毒は、予防方法をきちんと守ることで、確実に予防することが出来ます。
食中毒予防の三原則───食中毒菌などを食べ物に「つけない」、食べ物についた食中毒菌を「増やさない」、食べ物や調理器具についた食中毒菌を「やっつける」───を守り、お料理を美味しく、安全に、いただきましょう。
ところで私は、作り置き生活をするようになってから、食中毒を起こしたことはありません。
日持ちするにはどうすれば良いのか、時間が経っても美味しくいただくにはどうすれば良いのか、それはなぜなのか、といったことを調べたり、考えたりするのがとても楽しいこと、そのおかげで、色々なことに気を付けるようになったせいかもしれません。
仕事が終わって、美味しい食事と、お酒を美味しくいただきながら、さらに食べ物のことを考えています。とても幸せですね。
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